今は、長男が実家を継いでその土地のその家を守っていくという時代ではなくなりました。それでも田舎ではまだまだそんな風習が残っていますし、都会であってもそんな考えを持っている親世代は多いようです。それに、自分は実家に帰って住むつもりはないのに生まれ育った家がなくなるのは淋しいし、親の家を他人に売り渡すなんて申し訳ないと思っている人もいます。
そんなこんなで、今は田舎にも都会にも空き家がどんどん増えてしまっています。核家族化で子供世代は親とは別の家を買って生活をしているわけですから、親が住まなくなった家が空き家になるのは当然といえば当然なので、売却はやむをえないのですが・・・。
それぞれにさまざまな思いがあるということはわかりますが、現実を見たときにいちばんよくないのは、誰も住まない空き家の増加です。自分が相続することになるであろう不動産が空き家になる可能性がないか、今一度確認してみましょう。うちには長男がいるから、実家の家にはゆくゆくは長男が住んでくれるのだろうと思っている人はいませんか?家を相続するのは長男だけではありません。兄弟がいれば兄弟全員が相続人です。長男には長男の今の生活がありますから、簡単に実家に戻ることなどできませんし、そんな義務もないのです。
相続人である兄弟全員が結婚して自分の家を持っていたとすると、親が住まなくなった家は当然空き家になります。でも、自分が生まれ育った家にたくさんの思い出があるから売りたくないという人も出てきます。田舎ですと近所の目もあり世間体も気になります。だから「自分が住む!」というのなら良いのですが、自分は住まないけど売りたくないと言い出します。
もし思い出や世間体のために空き家をそのままにしようとしているのであれば、考え方を変えましょう。思い出は現物として残さなくてもよいのです。アルバムを開いてみてください。生まれ育った家の思い出が詰まっていませんか?母が丹精こめて育てた花であふれる庭もそこにあるのではないでしょうか。写真がないという方も心の中にはずっと存在し続けます。それに、家がなくてもその場所にはいつでも行くことができるのです。
また、すでにその場所には住んでいないのですから、それほど世間体を気にする必要もありません。もしかしたら最初は「親の家を売っちゃって」という人がいるかもしれませんが、それも一時のことです。
空き家の相続は、相続人全員が幸せな人生を送るために、誰の負担にもならないように、最善の方法を賢くセレクトしてくださいね。