相続が発生すると、どんな相続財産があるのかという調査とともに、相続人は誰かという相続人調査をすることになります。相続人調査というけれど、「うちは兄弟2人だけだし相続人が誰かなんてわかってるよ・・・」などとおっしゃる方もいるとは思います。それでも、やはり相続人調査はやらなくてはいけません。
円満に遺産分割協議が終わったと思っていたら、思いもよらない隠し子が現れるなんてことも実際にあるのです。また、相続財産については相続人全員の同意がなければ勝手に動かすことができませんので、相続した預貯金の解約や名義変更をするのにも、相続した不動産の相続登記をするのにも、相続人調査は必要となってきます。
では、相続人調査とは具体的にどのようなことをするのでしょうか?それは、戸籍をたどって相続人が誰なのかを正しく確定するという作業です。まず、亡くなられた方(被相続人)が生まれたときから亡くなるまでのすべてがわかる戸籍の謄本を取り寄せなければいけません。戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本が必要です。
戸籍謄本というのは、現在の戸籍の内容がわかる全部事項証明書のことです。今のことだけを見るなら戸籍謄本で良いのですが、相続人調査では被相続人が生まれたときから亡くなるまでの全てがわからなければならないので、これだけでは不十分ということになります。結婚などで新しく戸籍が作られている場合、結婚前のことがわかる除籍謄本も必要になります。また、法改正もありましたので、改正原戸籍も必要となってきます。
改正原戸籍というのは、法改正前までの戸籍のことをいいます。今までに戸籍法の改正が何度かあったため、新しい様式の戸籍に変わったのです。実は、新しい様式に変わる際に、もとの戸籍に記載されていた事項すべてが新しい戸籍に記載されたわけではありません。法改正前に離婚した場合や、子を認知していた場合、改正原戸籍にはそれらが記載されているのに、新しい戸籍には記載されていないのです。つまり、隠し子がいたとしても現在の戸籍謄本を見ただけではわからないということです。だから相続人調査には、戸籍謄本だけでなく除籍謄本や改正原戸籍も必要となり、被相続人が生まれたときまで戸籍をたどらなければいけないのですね。
また、被相続人の戸籍以外に、相続人全員の戸籍謄本も必要となりますので、こちらも忘れずに用意してください。