田舎から出て都会に生活基盤をおいているみなさんは、田舎の両親が年老いてくると、田舎にある田んぼや畑をどうしたものかと漠然と不安に思い始めますよね。私もそんな田舎出身者の1人です。田舎の土地をいずれは相続しなければならないという方は、どこにあるどんな土地を相続する予定なのか、両親が元気なうちに確認して調べておくといいですよ。
まず、該当する土地の登記簿謄本を見てみてください。相続予定の土地の中に、登記簿上の地目が「田」「畑」となっている農地はありませんか?農地は自由に売ることや譲ることができません。農地を売ることができる相手は限られていて、一定の条件を満たした農業を営む相手だけなのです。その農地のある場所が市街化区域であれば、農業委員会に届出をして地目を「宅地」に転用することができますが、農業振興地域にある場合は簡単には地目を変更することもできません。地目を宅地に転用できるのであれば、売ったり譲ったりも自由にできますので、相続後の土地活用の選択肢は増えます。
さて、問題は地目を変更することができない農地をどうするかです。自分が田舎へ戻って農業をするのであれば問題ありませんが、相続しても農業を行わない限り、その農地は耕作放棄地となり農地は荒れてしまいます。そんなときに頼りになるのが”農地バンク”です。農地バンクというのは、2014年に全国の都道府県に設置された農地中間管理機構のことをいいます。信頼できる農地の中間的受け皿として誕生した第3セクターです。農地を貸したい人は農地バンクに農地を貸すことができます。農地バンクは分散されている農地を集積化し、使いやすい形で借り手に貸すことができますので、農地を借りたい人にとっても好都合です。そして、耕作放棄地も減り農地の有効活用を期待できるというわけです。
とはいえ、農地バンクに貸したいと申し込みをすれば農地バンクがすぐに借り受けてくれるのかというとそうではありません。借り受けてくれるのは借り手がみつかってからの話です。ですので借り手がみつからないうちは賃料が入って来ないので、その点では注意が必要です。
いずれにしても、自分が相続する予定の田舎の農地はどこにあるどんな土地なのか早めに把握し、相続後にどう活用するのか、あらかじめ検討しておいた方が良さそうですね。