自分で計算するのはとても難しい
親や配偶者の遺してくれた資産の内訳は、多くの場合1.現金2.株・有価証券3.生命保険4.不動産といったところでしょう。人によっては美術品などもありえるかもしれませんが、あまり一般的ではないのでここでは除外します。さて、民法における相続では、遺産分割協議はすべて金額に換算して行います。上記の1から3は、明白に分かります。株の価格は変動しますが、それでもインターネットや新聞を見れば大体の価格はつかめます。現金にもし外貨が含まれていたとしても、やはり調べれば分かります。問題は4の不動産です。
土地には路線価などがあるが、建物はどうか
農地や山林は別として、不動産はたいてい土地と建物の二つで構成されています。このうち土地については、路線価が公的に開示されていますので、相続財産の価格を計算することが可能です。国税庁が全国を何丁目何番地という単位まで細かく分けて毎年7月1日に発表し、日経新聞が特集するあの価格です。もちろん国税局のサイトで調べることができます。しかし建物はどうでしょうか。古家もあれば新築もあり、贅沢な造りもあれば簡素な建物もあり、一概に数値化できません。建てた時の金額で計れないのは、もちろんです。
固定資産税の評価額を使ってみる
不動産をお持ちの方なら固定資産税を支払った経験がおありでしょうが、その内訳にまで注意を向けた方は少ないのではないでしょうか。実は固定資産税は土地と建物別々に課税されていますから、納税通知書を見れば建物の固定資産評価額が分かるわけです。この固定資産評価額からおおおその建物の評価額を算出することができます。とはいえ通知書を手元に残していない人がほとんどだと思われます。固定資産税額を決めているのは東京都では都、その他では市町村です。不動産が存在している市町村の役場で、閲覧や証明書の発行ができます(東京都では都税事務所)。実は土地の評価額も、この方法で同時に知ることができます。
20年も経てばたいていゼロに…
建てる時にはわくわくしながら、大金をはたいて建てる我が家ですが、時が経てば見かけだけでなく、その価値も衰えていきます。子供が産まれて育っていって、など住む人の思い入れとは裏腹に、子供が独り立ちしていくころには評価額はたいていゼロになってしまいます。それでも、現在の税制では建ってくれているだけで価値があるとも言えるのです。何もない更地に比べ、なんであれ建物が建っている土地は、固定資産税が低く抑えられています(床面積による)。依然として持ち主に対して価値を生み出してくれている存在として、古家を見てあげるのもいいのではないでしょうか。