住宅などの建築が自由にはできない区域
都市計画の対象となる区域、すなわち一般に不動産売買の対象となる区域は、都市計画法によって市街化区域と市街化調整区域に分けられています(一部に非線引き区域も存在)。街づくりには水道・電気や道路などのインフラが不可欠であり、それらがすでに整っているため住宅や施設の建設が自由にできる区域が市街化区域、まだ整備されていない区域が市街化調整区域というような感覚で分けることができます。市街化調整区域の土地も個人の所有であるかぎり売買はできますが、住宅の建設はかなり制限されています。基本的に「自由に家が建てられない区域」と考えてよいです。
都市計画法に基づいて指定される
住宅や店舗は私有財産ですが、電気・水道などのライフラインや防災対策などの公共資産が提供されて初めて価値を持ちます。それら公共資産の提供の度合いを個々人の判断のみに委ねるのは困難であり、そのため都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)によって、公的に地域ごとの区分が定めらています。
一定の条件のもと家を建てられる場合もある
利用に制限があるため、市街化調整区域の土地は一般的に価格が安いです。だからといって安易に飛びついては、土地を持ってはいるが家を建てられないという羽目に陥ることになりかねず、購入には慎重な姿勢が必要です。ただし、以前に住宅が建っていた場所(既存宅地といいます)ならば、管轄する自治体に設置される開発審査会の審査を経て、建築確認が下りることもあります。とはいえ、規模や用途に厳しい条件が付けられることが多く、甘い考えは禁物です。2001年以前はこの既存宅地の扱いがかなり緩かったことから、現行法を知らずに勧めてくる不動産業者も場合によってはありえますので、慎重な対応が求められます。
土地利用の逃げ道を用意しておく
市街化調整区域の物件は基本的に、不動産利活用に不慣れなサラリーマン等が手を出さないほうが無難ではあります。どうしても魅力的ならば、許認可が下りなければ購入を白紙に戻す条項を契約に盛り込んでおくべきでしょう。近いうちに市街化区域に変更されるなど不動産業者が言ってきたとしても、確実にそうなのか、裏を取るぐらいの慎重姿勢が求められます。なお、購入目的が住宅建築でなく活用であるなら、駐車場やカラオケボックスなど使い道が考えられますが、その場合も需要や実現可能性が十分にあるのか、見極めた上での意思決定が必要になります。