資産は宝。持ち続けることが鉄則
運用している不動産についての原則は、まず手放さないことです。株や美術品または現金といった他の資産と異なり、不動産はどんな社会変化があろうと、ほぼ確実にある程度の価値を持ち続けます。手放してしまうと、もう戻っては来ません。短期的に利益が出ていなくても、まずは活かす方法を考え、どうにも策がなければ売却を考えるぐらいのスタンスが常道とされています。
赤字を計上しても税金で取り返せる
不動産運用の赤字分は、損失として確定申告することができます。他に給与や事業所得など収入のある方なら、そちらで支払った所得税を取り戻すことが可能です。給与所得が500万円・不動産運用の赤字が200万円なら、収入は300万円となり、課税はその300万円に対する額だけになります。赤字分まるごととはいかないまでも、かなり助かることは確かです。例えば赤字が給与所得を上回り(上記の例では赤字が500万円を超える)、他に所得が無いような場合は非課税となり、源泉徴収分の全額が還付されます。
管理会社と契約する、または換えてみる
もし貸借人の募集や維持管理などをご自分でやっており、大変で仕方ないので手放したいという場合には管理業者との契約をお勧めします。2011年に国土交通省により「賃貸住宅管理業の登録制度」が創設され、借主・貸主双方の利益が制度として守られるようになりました。「受託する建物・設備の点検、維持管理、賃借人等からの問い合わせや管理報告、苦情対応などを行う運営・調整業務等についても管理事務に含まれる」と明文化されているので、全面的に任せることができ、気持ちの負担を軽くすることができるでしょう。大手デベロッパー系列から地場の不動産屋まで、様々な事業者が参入しています。
それでも売るなら、入居中のまま事業者に
どうしても手放したいという意向が強いのであれば、賃借人が入居したままの状態で売却することをお勧めします。我が国では借地借家法などにより、入居者の権利がかなり手厚く保護されているため、退去を依頼するには手続き的にも経済的にも相当の負担を覚悟をしなければなりません。まるごと譲り渡してしまうほうが、結局は利益が大きくなることが多いのです。また、個人でのアパート経営が話題になっているようですが、売り渡す側にしてみれば買い手のローンが通らないリスクを覚悟する必要があります。サラリーマンなどの素人が、銀行から数千万単位の事業資金を借り入れることは、それなりにハードルが高く、必ずしも成功するとは限りません。そのため、早く確実に話を進めたいなら、実績のある事業会社に売却するほうが賢明です。