個人が不動産を譲渡し、譲渡代金から売却した物件の取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引いても利益(所得)が生じる場合には、譲渡所得の申告が必要になりますが、その際に、売却した物件の所有期間により、所得税・住民税の税率が変わってきます。
不動産を譲渡した場合、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの場合には「長期譲渡所得」として所得税15%、住民税5%、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものの場合には「短期譲渡所得」として所得税30%、住民税9%で課税されるというのが原則です(復興特別所得税は考慮していません)。
さて、所有期間の長短により税率が全く異なることになるので、どのような基準で所有期間を判定するかが重要になってきます。所有期間とは、「資産の取得の日」から「資産の譲渡の日」の期間という意味ですが、取得の場合でも、譲渡の場合でも「引渡日」で判定するのが原則となっています(なお、代金決済日よりも後にすることはできません)。但し、例外的取扱いとして「契約の効力発生日」によることもできるとされており、納税者は任意に選択することが認められています。取得と譲渡で別々になることも可能とされています。
そうなると、引渡日と契約の効力発生日のいずれを採用するかによって、前述の「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」の判定にも影響が出ることになります。下記図の例では、資産の取得の日は「契約の効力発生日」を、資産の譲渡の日は「引渡日」を採用すると、譲渡した年の1月1日(=X7年1月1日)において、所有期間が5年を超えるので、長期譲渡所得に該当することになり、税負担を減らすことができます。
2020年東京オリンピック開催が決定して以降、日本の不動産市場の取引が活発化していますが、その反面、現在の市況がいつまで続くのか、2020年以降はどうなるのか、様々な予測がなされています。もし、不動産の売却を検討される場合には、このような所有期間の考え方も意識すると、税負担の軽減につながるでしょう。
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