不動産の査定方法は一般の人には非常にわかりづらく、独学で勉強したとしても現実的にはきちんと評価するのは困難です。というのも、不動産物件は「一物多価」と言われ、同一の物件でも時期や、売買に関わる人たちのニーズによって価格が変動してくるためです。
ここでは、査定方法として確立されている原価法、取引事例比較法、収益還元法の三つを解説します。
●原価法
この方法は、まず売買の対象となっている物件を、もう一度建築し直した時に、総額でいくらになるかを算出します。これは再調達原価と呼ばれます。
次に、新築で建てられてから何年経過しているかを確認し、その年数を元に価格の低下を割り出して、今の価格を求めます。これは減価修正と呼ばれます。
この方法の特徴は、売買の対象が建物のみの場合、また土地と建物の両方の場合でも有効であることが挙げられます。
例えば、中古の住宅物件の例を考えると、
価格=総面積×単価÷耐用年数×残存年数(耐用年数−築年数)となります。
●取引事例比較方法
売買の対象となっている物件と比較して、類似の過去の売買事例を収集し、それを参考にしつつ現在の事情や時期を勘案して評価するのが取引事例比較法です。
この方法は現在の不動産業界において最も一般的に使用されている方法と言われています。冒頭にも紹介したように、不動産価格は非常に流動的なものですが、この方法では客観的な評価の根拠になるものとして、多くの鑑定事例に利用されています。
ただ、この方法にあるネガティブな面として、過去の事例を収集する手間が挙げられます。ただこの面をクリアすることも視野に入れ、国土交通省が取引価格の事例情報を管理し、公開していますので、今後の発展が期待されています。
●収益還元法
この方法では、今後生み出すと考えられる利益を鑑みて対象物件の価格(収益価格)を算出します。
特徴としては、賃貸を始め、事業向けの物件を評価するのに適した計算方法ということが言えます。
この方法で要求されるのは、物件の運用実績が重要ですが、その数字に信憑性がないと成り立たないので、元の資料の客観的妥当性に配慮しなくてはなりません。
●まとめ
以上、代表的な査定方法を見てきましたが、いかがでしょうか。
きちんとした査定額は当然、不動産鑑定士に依頼しなければならないでしょうが、上記の計算方法の特徴などを頭に入れておけば、提出された評価額を自分でも理解しやすくなるはずですので、理解しておくのは有効でしょう。