「再建築不可物件・・・接道義務を果たしていないため再建築ができない物件」
不動産物件の売却の時に、最も頭を悩ませる状態にある物件の一つです。
再建築出来ない訳ですから、建物が傷んでいっても、ただ見てるだけしか出来ません。
このような物件は、当然買い手もつきにくいです。
それに不動産を購入する場合は銀行から融資を受けるのが一般的ですが、このようなケースでは融資を受ける可能性は低くなっています。
そうなると、現金購入する人しか買い手候補とならないので、ますます売却の可能性はかなり低くなります。
知人の不動産関連の機関紙の編集者から、このような状態の人の話を聞く機会がありました。彼は相続の際に、親から譲られる家屋が再建築不可物件であったことを知ったようです。当然、これほど大きなデメリットを抱えた物件ですから、相場価格での売却は諦めていました。
ところがある日、不動産会社からの電話が鳴ったので出てみると、買い手がついたということです。しかも金額は通常の相場価格に近いもの。
一体どのような理由で、誰が買い手になったのでしょうか。
再建築不可物件が売却できた理由
その物件は中野区にありました。中野区は都内でみても人気のある地域です。そこに目をつけた投資家が、隣接する土地の所有者と話をして、道路まで接するための敷地を部分的に買い取る約束を取り付けていたのです。こうすれば接道義務を果たし、再建築が可能になります。
人気地区ですので、なんとかデメリットを除外できれば、投資コストを回収できると踏んだようです。
この事例では、投資家の機転で売却ができましたが、他にも売却に至る手段はありました。
例えば、改築です。再建築はできなくても、部分的に立て直すことは可能ですから、改築を行なって不動産価値を高めるという手段があります。
また行政に審査を申請して、例外的に再建築の許可を出してもらうことができます。接道義務は建築基準法第43条に示されていますが、そこには但し書きが付されています。該当する敷地の周囲に広い空き地がある場合、または交通・安全・防火の問題上で支障がないとされた建築物は、審査を通過すれば再建築が可能となるとあります。
この例外措置を適用できれば、再建築が可能となり、相場価格での売却の目処がつきます。
これらのように、自分の思いもよらない理由で買い手のつく場合があります。
不動産物件は一物多価と言われるように当事者の利害関心によって金額が変動します。業界の常識にてらせば諦めなくてはいけない状況でも、予想しなかった理由で買い手のつく場合があるということを覚えておくといいかもしれません。