不動産売却を成功させる要因の一つには、買い主にとっての価値を、できるだけ最大のものにするという点が挙げられるでしょう。
キーワードで読み解く不動産投資(その4:済証)でも触れた通り、売買は売り主と買い主の利害関係が一致して、はじめて成立します。
今回の場合のように買い主の立場で考えれば、売り主にとって最も利益のある条件を提示することが、最重要であることがわかるでしょう。
かつて、バブルの時期であれば不動産収入と言えば売却益と言われていました。不動産の地価が自然と上昇していたからです。
しかし現在は不動産収入と言えば、運用益です。利用してはじめて価値が生まれます。
駐車場なり、また少し前ではトランクルームにして貸し出したりするのが多く見られましたが、いずれにしろ利用することによって収益を上げられます。
この運用益がいかに高いかを買い主にアピールするのが大切になります。
この運用益で問題になるのが容積率です。
容積率とは
「容積率(ようせきりつ)とは、敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合のこと」(建築基準法第52条より)
言っていることは簡単ですね。
一応例を出して、確認してみましょう。
土地:100平方メートル
建物:床面積の合計が200平方メートル
200平方メートル(建物)➗100平方メートル(土地)=200
容積率:200%
上記のような計算で容積率が求められますが、容積率を最大限確まで高めるために、なんでもかんでも建てていいというわけではありません。
建物を建てる場所に応じて容積率の上限が設定されていて、ある一定の高さを超えないようにされています。これは都市計画で定められた指定容積率と言われます。
密接な関係の容積率と運用益
容積率と不動産の持つ価値は、密接につながっていると考えられています。というのは、多くの場合、不動産の利用価値はそこから得られる賃料だからです。
その得られる賃料収入は、どの程度の床面積が確保できるかに依存しています。言い換えれば、容積率にかかってくると言えます。
容積率が高いほど得られる賃料も上がり、低ければ賃料は下がると予想できます。
このように、不動産収入を期待する場合、容積率が重要項目になっているのがわかると思います。
許容容積率の実際の算出の仕方
上記に示したように、容積率の上限は各地域ごとに設定されています。つまり指定容積率です。
ただ実際には、さらに制限を定める要素が加わってきます。それは前面道路の幅員です。こちらは前面道路の容積率と呼ばれます。
この規制では、土地の面する道路の幅員が12メートル以上となっていれば特に制約はかかりません。
ただそれ以下の幅員になると、その幅員に基づいて一定の制約を受けることになります。
例を出してみましょう。
都市計画上の容積率の上限:500%
前面道路の幅員:4メートル
適用される容積率は前面道路の幅員の60%となります。今回の場合は2.4となります。これをパーセンテージに置き換えると、240%となります。
この240%が実際の容積率の上限となります。もともとは500%だったわけですから、割合的に半分以下に抑えられてしまいます。
容積率を高めて収益を上げる
上記のように、不動産の利用価値は、容積率は密着しています。従来、業界でも容積率100%を1種、200%は2種と呼ばれているのを見ても、いかに重視されているかがわかります。
例えば、1種あたりの坪単価が100万円で、容積率500%が設けられ、広さが100坪だった場合、容積率をフルに使った建物を建てれば、5億円の不動産価値と大雑把には計算できます。
不動産の容積率をいかにして引き上げるかが、利用価値を高め、ひいては売り主にアピールできる不動産となるかのキーポイントとなります。
この点が不動産売却において、最重要となっているのは、わかっていただけたと思います。