日本だけではなく、世界中で大きく報道されたイギリスのEU離脱。
「移民・難民問題が原因でイギリスはEU離脱を決定した」、というのが原因の主流として報道されていましたが、当然、原因は複合的なものです。ブリュッセルの官僚、EU分担金、格差などへの不満であったり。
原因の一つに挙げられているのが「不動産価格の高騰」。
EU離脱決定前、ロンドンの不動産価格は異常なバブル状態でした。一時期、「世界で最も高価なマンション」はロンドンにありましたし、マンションの大きさ、築年数など関係なく一億円越えの物件ばかり。
当然、ここまで高騰してしまうと失業率の高いイギリスの若者は住宅難に陥ってしまいます。ここ15年で、若者(25~34歳)の住宅所有率は40%近く低下。ロンドンは徹底的に「大金持ちのための町」へと変身してしまいました。
新興国からの投機が活発でここまで高騰したとされていますが、イギリス国民にとっては新興国の富裕層が自分たちから住宅を奪い、新興国の労働者階層が自分たちから仕事を奪った、という感覚でしょう。
この現象が、EUという枠組み、国境の往来をフリーパスにした「シェンゲン協定」、グローバル主義、愛国心を否定する大手メディアへの不満となり、僅差ではあるもののEU離脱を決定した流れへとつながります。
ただ、EU離脱決定すれば不動産問題が解決するかというと話は別。むしろ、大混乱に陥ってしまいます。
2016年7月のロイター通信の発表によると、イギリス不動産ファンドの解約停止が止まらず、2008年の金融危機以降最大の(180億ポンド(230億ドル))に及んだと伝えられています。何とか資本増強をして持ちこたえているとされていますが、発行主が倒産してしまえば債権・証券なんかは紙くずですから投資家たちは戦々恐々ですね。
EU離脱決定以後、ポンドは下がるだけ下がっています。
ポンド安がそのままイギリス国内の不景気につながるとは限りませんが。日本だって円安だと株価が上がりますしね。
1月17日に、メイ首相はEU単一市場離脱を明言。EU側も強硬姿勢であるため、「EU」という括りでの今までの様な経済活動は難しいでしょう。
FTAで各国個別に経済関係を構築していくとのことですが、イギリスの経済的先行きは不透明ですし、なにより離脱を決めたイギリス世論も未だ荒れています。
イギリスの経済の中でも、不動産は特に予測が難しい存在であるため、気安く手を出すと痛い目に合うかも?