保育園が足りない」、というのは以前から言われ続けていたことだが、近年では反対に「保育園を建てるな」という意見が目立ってきている。

東京や千葉、埼玉などで新設の保育園建設への反対運動が活発となり、計画自体が事実上とん挫する問題が多発。

そんなニュースに対し、「保育園が足りないのに!」「狭量な人たちだ」「少子化の現実」などと手厳しい意見が飛び交う。基本的に、反対住民側を責める声が多い。


ただ、アナタの隣に保育園ができたら・・・?」と聞かれればどうだろうか。

反対活動が起きる理由と対策に関して考えてみよう。

保育園のトラブルとは

まず、保育園トラブルの主戦場は「都市部」である。

地方でまったく無いかと言われればそうでもないのだろうが、基本的には都市部で頻発している。理由は簡単で、「土地と保育園が無い」からだ。

地方ならば開いた土地に余裕をもって建てられるだろうが、東京、千葉、埼玉といった都市部を上空から見てみると理解できる。開いたスペースなんてほぼ皆無であり、ココに子供たちが自由に遊ぶ施設を作ること自体が難しいのだ。

また、子供だけではなく「親」にも大きな問題はある。

送迎時に車が渋滞してしまい近隣住民の通行の妨げになる場合もある上、井戸端会議でその場に留まりお喋りされ始めたらたまったもんじゃあない。

何よりも気になるのが、「不動産価値の下落」だ。

「保育園が近くにある」という条件ならば、これから子供を持つ予定だったり幼い子供がいる若い夫婦や、(法律で付近に飲み屋・風俗店などの運営が禁止されているため)治安を気にする若い女性などに一定の需要はある。

しかし、「保育園に隣接している物件」となるとオフィス用のテナントでも入居率が激減してしまうのだ。悲しいことに、現実として買い手、借り手が避けてしまう「問題物件」であることは間違いないだろう。

対策は可能か?

一番問題視されている「騒音」だが、実は対策は簡単だ。

「壁」を立てればいいのだ。

一般的に「防音壁」と呼ばれているものだが、工場や高速道路など様々な所で活用されている。また、女性や子供の高い声は防音しやすいので、壁一枚で驚くほど遮断できる。逆に、男性の低い声の方が妨げにくい。防音壁でも足りなければ、近隣の住宅に二重窓にしてもらうための費用を税金から支払えばいいのだ。

「子供を壁の中に閉じ込めているみたいでカワイソウ!」という意見も一部にはあるようだが、ソレを言い出せば「都市部で子育てされてる時点でカワイソウ」という理論も成り立ってしまうので放っておこう。

こういった簡単な対策も行わず「文句言うな!」では、反発が起こって当たり前だ。

また、工事内容をキチンと説明しておらず、勝手に工事を始めてトラブルになった例も複数存在している。埼玉県では、工事業者が何の説明もなく突然「妨害すれば法的処置をとる」といった書面を近隣住民に送り付け、工事を一方的に始めてしまったせいで反対運動が活発になってしまった例も。

最終的に理解されない場合もあるが、防音対策と丁寧な説明、補償は最低限行わなければならないことであり、どれかを疎かにしてしまえば当然ギクシャクするだろう。

実は、もっとも厄介なのは「人間関係」なのかもしれない。

保育園増設の問題に関しても、都市部の一極集中の問題に関しても、一番の責任者は保育園側でも地域住民でもない。

国や、国会議員だ。

「保育園を増やす」と言いながら補償を含めた一定のメソッドを作らない与党。

大喜びで「日本死ね」と叫び、年収合計3000万円の夫婦ながら「保育園落ちた」という議員を担ぎ上げる政局しか考えていない野党。

政府による根本的な対応は残念ながら期待薄かも知れない。

悲しいが、民間でトラブルを避けるためのコミュニケーションを取っていことが現状では一番の解決策なのだろう。
 
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