海外からの観光客増加に伴いホテルや旅館といった宿泊施設が不足し、急に注目され始めた「民泊」。
政府は2016年後半から民泊の規制緩和などを法整備しています。
その中の一つが「民泊特区」。
民泊特区は通称で、正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と長い。外国からの観光客増加に伴い「外国人も利用しやすい環境」を目指した計画であるため「外国人滞在施設」とされていますが、日本人が利用しても問題ありません。
今まで野放しだった民泊ですが、「民泊のための決まりを作りますよ」ということなので、前々から民泊をしてみたいと思っていた方にとっては注目すべき法案でしょう。
実は、民泊特区は色々と規制が多いのも事実。
まずは、民泊をしたい自治体が「特区」として指定されていなければなりません。
現在は、「東京都」「神奈川県」「千葉県千葉市・成田市」「大阪府」「兵庫県」「京都府」「新潟県新潟市」「沖縄県」「福岡県福岡市・北九州市」「広島県」などの一部が指定、もしくは2016年内に指定予定。
基本的には「観光客が多くて宿泊施設不足な地域」が指定されています。
また、民泊に使う物件にも、多くの決まりごとが。
「2泊3日以上での使用(2016年9月9日改正)」
「床面積が25平方メートル以上」
「各部屋や廊下などは仕切りではなく壁造り」
「浴室、キッチン、洗面所など完備」
「テーブル・椅子、寝具、調理器具、清掃道具など完備」
「換気、排水、冷暖房など完備」
「窓、扉には施錠ができること」
など。
「2泊3日以上での使用」は、もともと「7泊以上での使用」という決まりだったのですが、そもそも「一か所に7泊以上を民泊する観光客がほとんどいない」ということで改正しました。よく考えれば当たり前なのですが。特区制度ですし出来たばかりの規則なため、今後も改正されることはあるでしょう。
ただ、指定された自治体にも様々な事情があるため、自治体によってルールが違う場合も。
例えば、大阪府とは別に大阪市・堺市・高槻市などの各市が独自に条例制定を行っており、吹田市・池田市などが条例不参加という形をとっています。原則的な決まりを守っていれば、各自治体が柔軟に対応することも可能なのが民泊特区の特徴。
既存の宿泊施設に適用されてきた「旅館業法」とも照らし合わせながら、民泊特区は運営されていくようです。
トラブルも出てくるかも知れませんが、日本の民泊はどういった方向へ進んでいくのでしょうか・・・。