「空き家対策特別措置法」で何が変わる?
少子高齢化が問題として取り上げられて久しい昨今。
少子高齢化から、全国的に「空き家」が問題になっています。
親と死別、もしくは施設に入ったなどで誰も住んでいない家はメンテナンスもされておらず治安面や衛生面からご近所トラブルに発展することも。
そんな中、2015年に「空き家対策特別措置法」が全面施工。
「空き家対策特別措置法」とは、野良猫が住み着くなど衛生面で問題のある空き家、倒壊の危険性のある空き家を「特定空き家」に認定。
所有者に撤去や改修を命令し、所有者側が応じない場合は50万円以下の過料や強制撤去という対応がとられます。勧告を受ければ固定資産税の優遇も受けられないことに。
今までのように「面倒くさいから放置しとくか」、という対応ができなくなっているのです。
国・自治体の対応を上回るペースで空き家が増加しており、今後も更に増加し続けていくであろう空き家に対する苦肉の策が「空き家対策特別措置法」といっても過言ではないでしょう。
ただ、この法案一本で解決できるほど日本の空きや問題は簡単ではないのが現状です。
地域で進む「空き家活用」
国単位で法整備が進んでも、実際に撤去などの対応を行うのは各自治体です。
話題の小池都知事も、「空き家を保育施設に」などといった政策を打ち出しており話題に。
しかし、東京都内の空き家は75万戸。居住者自体も高齢化が著しく、急増している都内の空き家への対応は一筋縄ではいかないでしょう。
人口や歴史、環境など地域によって住宅事情は違っているので、各自治体で空き家対策は違うのが当然です。
東京都と島根県に同じ空き家対策を行おうとすれば無理が出ます。
また、各自治体は自治体の特色を生かした空き家対策を行っています。
例えば、広島県尾道市。
坂の町、映画の町と知られる情緒あふれる街ですが、尾道市も空き家問題が深刻です。特に、斜面に戸建て住宅を中心とした住宅が並ぶ地域では、一定の区画にマンションをドーンと!という訳にもいきません。
地形的な問題だけではなく風情のある景観も崩れてしまい、観光面でも悪影響が出るからです。
ソコで尾道市がとったのが、「空き家再生プロジェクト」。
職人さんたちに協力してもらい空き家は個性的な再生処理を施して、空き家の里親、新規入居者を探します。新しい住人にはアドバイスなどのケアを。また、映画の町として知られる尾道は芸術面でも縁が深い地域。各所に空き家を再利用したアートや文学を楽しめるアトリエやギャラリーを設置。
こういった対策で、観光客を呼び込める景観を壊すことなく、新規の入居者にも対応できるというワケです。
尾道のように、自治体の特色を生かした空き家再生プロジェクトは多数存在しています。
厄介だった空き家問題が、地域活性化と、若年夫婦への住居を提供することで少子高齢化対策の一助になる可能性も?