今回は、実際に、中古マンションをリフォームする場合を想定してお話します。
ちなみに、コンクリートの厚みはそう簡単には変えられないので、床の工法での対応をお話します(一応1センチくらいならばモルタルを上塗りしたり、モルタルの中や下にグラスウールなどの吸音材を施工することもできないことはないのですが..)。
●2つの床張り工法
床下地の方法では、床スラブ(コンクリート)の上に遮音材を置き、その上にフローリング等の仕上材を張る二重床置床式工法(=床上げとかユニットフロアといいます。)と、直に仕上材(フローリングやカーペット)を張る「直貼り」があります。
直貼りイメージ
ユニットフロアイメージ
当然ながら、ユニットフロアの方が、スケルトンリフォームをする際の対応がしやすく、特に、遮音面でもコンクリートスラブとフローリングの間に遮音シートを入れることができます。
また、スラブと床材の間に空間ができますから、きちんと施工されていれば、音の伝わりを軽減する効果が高まります(施工がマズイと逆に反響して音が増幅したりします(太鼓現象といいます。))。
どのような工法であっても、遮音材は前回に詳しくお話ししましたが、少なくともL(LL)45になるように施工をしてください。
※前回記事⇒リノベーションの鍵は「床」 前編
なお、遮音材をフローリングの下に入れたとしても、なかなか音が軽減しない場合があります。
といいまか、ある程度年代の古い物件では、どんなことをしても、わずかな音は聞こえます。
そこで、一番簡単な遮音方法は、実は絨毯やカーペットを敷いて物理的に吸音させる方法が有効です。
タイルカーペットという選択
そこで私が最近おすすめするのが、タイルカーペットです。
タイルカーペットは以前は業販のみでしたが、最近はホームセンターでも販売しています。一昔前と違い、今はデザインも豊富になりました。
50cm×50cmが一般的で、大体、1つ200円~600円位で販売されています。
最近は、OAフロアの普及により、事務所用のテナントでもワックスをかけないカーペーットタイプの床が普及していていて、近年、タイルカーペットを使用した建物が増加しているように思えます。
(※OAフロアとは、床をかさ上げして床下にケーブルなどを配線した構造の床で、通常のタイルなどの床のようにワックスをかけて水で洗浄することが難しい構造になっています。)
タイルカーペット表面はこんな感じです。
裏面がこちら
裏面は、PVC(塩ビ)でできています。
※外国製のものは、ビチューメンという素材のものもあり、曲げるとひび割れたりしますから、私は国産のメーカー品をおすすめします。
タイルカーペットの施工方法
施工は簡単なのですが、タイルカーペットの張り方について、紹介します。
通常はただ並べるだけですが、プロが施工すると、床に接着する場合もあります。
カットは専用のカッタ―もありますが、ハサミや普通のカッタ―で十分です。
※用意するもの ハサミ、カッタ―(大きいもの)、定規(金属製のものがよいと思います)、型紙、ペンといったところです。
●流し貼り
全てを同じ向きで貼っていく「流し貼り」というやり方があります。
イメージはこんな感じですね。
●市松張り
それぞれを交互に貼っていく方法で、江戸時代の歌舞伎役者、佐野川市松が舞台で身に着けた袴の模様が語源です。
市松張りの利点は、製品の誤差をうまく調整できるということですね(0.5㎜くらいはカット時の誤差があります。)。
私は、市松張りの方が好きなので、事務所のタイルカーペットは、市松張りで張ってみました。
その他適当に並べてもおしゃれかもしれません。(ランダム張り?)
施工はただ並べればよいのですが、端はカットが必要なので、ある程度の器用さがあれば、DIYでも施工できます。
部屋の端が凸凹の場合は、カットが大変ですが、コツは新聞紙などで型紙を作ることです。慣れてくると、目見当でカットできるようになりますが、最初のうちは型紙が便利です。
遮音性能をもっと上げる方法としては、タイルカーペットの下に敷く遮音シートもありますから、ぜひこれを敷いてみてください。
意外とタイルカーぺットだけでも足音や軽量衝撃音は軽減できますから、ローコストで施工するにはおすすめです。
もちろん、置くだけならば床を傷めないので、賃貸物件にもおすすめです。