マンションを購入する場合、新築か中古かでお悩みの方が多いと思います。
新築は、すべてが新しく、最新の技術で建設されているから安心!という考え方がありますが、
反面、時間の経過を経験していませんから、将来、経年劣化でどのようになるのかは、想像するしかありません。
コンクリートは完全に乾燥するまで10年かかるといわれていますから、ビルは新築から10年くらいまでは、新品の雰囲気を保っているのですが、10年経過したあとから、施工状態の悪い建物は、徐々に劣化のスピードが上がっていきます。
こうした建物で目立つのがコンクリ―トの劣化です。
◆RC構造
マンションになどのビルは、一般的にRCまたはSRC構造です。
RCとは、鉄筋コンクリート構造(Reinforced Concrete Construction)のことで、コンクリートの建物の骨組みとして、鉄筋が使用されています。この鉄筋が鉄骨となったものがSRC構造です。
さて、なぜ、鉄の芯が必要なのかというと、1つはコンクリートの「堅さ」のためです。
コンクリートはその堅さゆえに、圧縮力(押し付ける力)にはものすごい強度を発揮しますが、
反面、曲げや、引張力、せん断力に対しては意外ともろいのです(※硬いものは、割れないかというとそうでもなく、例えばダイヤモンドでも金属のハンマーで割ろうと思えば割れます。)
さて、ここまでの話で、鉄骨やコンクリートが建物の構造上とても重要であることがお分かりになったかと思いますが、
しかし、きちんと施工されていなければ、列化により、特にコンクリートはびび割れなどが起こることがあります。
特に気を付けたいのが、「乾燥収縮」によるひび割れと、ひび割れから水が浸入することにより生じる「鉄筋の錆」です。
ちなみに、
コンクリートとは何できているかというと砂、砂利、水などをセメントで凝固したものです。水とセメントを混ぜる化学反応で固まります。
ちなみに、セメントを水で溶いて混ぜただけのものをセメントペースト、これに砂を練混ぜたものをモルタルと呼びますが、コンクリートとの違いは、骨材と呼ばれる砂利などの大きさです。
この大きな骨材が混入されているため、砂だけのモルタルと比べて大きな強度が出るのですが、同時に、混ぜ合わせるのが難しくなり、モルタルと比べて、施工が難しくなります。
施工不良のコンクリートは、骨材とセメントが分離して、砂利が下の方などに塊となる「ジャンカ」、「乾燥収縮」によるひび割れなどが起こることがあります。
乾燥収縮
コンクリートは、セメントと水の化学反応により硬化します。
コンクリートは水の量が少ないと攪拌(かくはん)するのが大変で、作業性向上やコスト削減のため、セメントの硬化に必要な量以上の水で練ってしまうことがあります。こうした、手抜き工事は、コンクリートが乾燥するとき、水分が抜け、体積の減少を起こし、ひび割れが発生してしまいますが、これを乾燥収縮といいます。
ひび割れは、収縮による負荷がコンクリートのもつ引張り強度を上回った場合に発生するといわれていますが、建築物の開口部の角に斜めに発生するひび割れが多いのですが、誘発目地という、あらかじめ力がかかった時にひび割れを発生させて致命的なひび割れを防ぐ目的のものもあります。
少しのひび割れで建物が致命的なダメージを受けることはないのですが、そこから雨水が侵入し、鉄筋や鉄骨を酸化させることがあります。
これを補修するためには、ひび割れた個所に弾性の高い樹脂を流し込み接着するのですが、できる限り、建物はこのような状態にならないようきちんと施行されるのがベストです。
◆ひび割れは管理の指標
私が、少し古い建物をおすすめする理由は、こうした経年劣化を目視することができるからに他なりません。
30年くらいの建物でも、ひび割れ一つないものもあれば、築15年くらいで、ひびだらけのビルも見たことがあります。
多くは、あとからモルタルで、コンクリートの凸凹を整形した個所のひび割れがほとんどで、あまり致命的なものは少ないので、それだけで建物の価値に著しく差が出るものではないので、きちんと補修されていることの方が重要なポイントとなります。
きちんと補修されていれば、少なくとも管理が行き届いているということは言えるのです。
このようにコンクリートのひび割れの補修は、建物の管理を判断する指標にも使えるのです。
打ちっぱなしのコンクリートのびびから、鉄さび色の雨水がにじみ出た跡かたくさんある建物は、それを見ただけで、きちんとした管理がなされていないことが伺えます。
もちろん、築年数によっても違いはありますが、中古のマンションを買う場合、内装のリノベーションの程度だけではなく、建物の躯体自体の劣化にも目を向けてみてください。