売り急ぐ人とはどういった人か


不動産売却の事情は十人十色です。

中でも「売り急ぐ人」、すなわち「売却代金の使い道が明確」な人が今回のお話しに該当してまいります。

「売却代金の使い道」とは、、、

典型例は、債権者に対する返済、納税、遺産分割(代金分割・価格賠償)、離婚による財産分与、でしょう。

別途、人間関係のトラブルから緊急避難的に早期に解放されたい場合(例えば、ご近所トラブル、お子様の学校でのトラブル等)も今回のお話しには該当いたします。

これらの場合、のんびりと市場の反応を見ながら高値で売却活動を開始してみる、、、なんて時間的な余裕は無いはずです。

なぜなら、なるべく早期に不動産を換金する必要があるからです。

その場合、価格を相場よりも下げなければ早期売却は見込めません。

つまり、売却先は一般エンドユーザーではなく消去法により宅建業者(プロ)に買取ってもらう方法が早期売却のセオリーです。

では、宅建業者に買取ってもらう場合のメリット・デメリットを再確認した上で本題に入ります。

■主なメリット

1.融資特約が無いため、その後の資金計画(支払い計画等)が立てやすい。

2.瑕疵担保責任を負わずに売却が可能(瑕疵担保責任免責)。

■主なデメリット

1.売却価格は一般的な平均値として、実勢価格を下回る。

今回は、その様な実勢価格の相場以下で売却せざるを得ない人であっても、

その価格を貪欲に100万円UPさせましょう!という方法です。

(売主目線で交渉時に100万円得する方法)売却活動のテクニック

注意点1.売主側からは「入札」という言葉を使わない

通常1~2社の宅建業者にあたって買取価格を聞き出し、諸条件が合えば即契約に移るのが一般的です。

しかし、売却価格(宅建業者の買取価格)は一般的に実勢価格の約70%程度に留まってしまいます。

では、どんな方法が100万円UPにつながるのか。。。

それは、1~2社だけでなく、さらに多くの宅建業者に物件を紹介することです。

形式的には「入札方式」で宅建業者に買取価格を競わせる方法です。

ただし、注意点が有ります。

ここが今回のオハナシのツボです。

通常、不動産の入札案件は大規模な収益不動産や大規模な戸建て用地です。

つまり、通常、個人の方のマイホームや30坪の土地などでは入札は行ないません。

ましてや、紹介先の宅建業者に「入札案件です」なんて言って紹介すると「どうせ落札出来ないかもしれないアテにならない売物件」と思われ敬遠されてしまうリスクがあります。

まず紹介先(買主候補の宅建業者)には、例えば「○月○日までに御社での買取価格を書面でお知らせ下さい。しかし、他社にも数社お声掛けさせて頂きますのでご了承下さい」と伝え、こちらから「入札」とは言わない様にしましょう。

なぜなら「入札」という言葉に拒否反応を示す宅建業者もいますから。。。

しかし、やっていることは実体として「入札」なのです。


注意点2.
返事の「期限を明確」にし、「書面」で買取価格の返事を求める


注意点3.
あえて「他社にも紹介する」と伝える

【よくある事例】

実勢価格であるならば(見込み)

  エンドユーザー・・・2500万円

しかし、売り急いでいるため、

当初、X社の買取価格

  X社・・・1800万円

入札形式にした結果、

  A社・・・1750万円

  B社・・・1900万円

  C社・・・1830万円

  D社・・・1700万円        

結果、B社と話を進める。

注意4.物件紹介時には最低限の資料は提供しましょう。

買主候補の宅建業者は、書面を出してくるのであれば今回の売却方法(入札)の意味は承知しているはずです。

紹介先の候補としては、競売物件を多数扱っている宅建業者が真っ先に挙げられます。

なぜなら、競売物件はまさに入札業務だからです。

次に地元や地域密着型での不動産を買取る業者です。

全国展開している戸建デベロッパーなど一部の会社は紹介しても辞退する可能性もありえうます。

とにかく、複数の宅建業者に粛々と紹介していくことが大切です。

仲介業者に依頼せず、お客様ご自身で販売活動するも良し(成約しても仲介手数料が発生せず節約できます)、仲介業者に依頼して働いてもらうも良しです(この場合は仲介手数料が発生します)。

私自身、仲介業者として、一般個人の売主様の不動産をこの様に結果的に入札方式で買主候補から多数の買取価格の書面を集めて最高価格の宅建業者と契約を進めています。

また、紹介先の宅建業者へは、物件の紹介時に最低限の資料は提供するべきです。

入札形式でなければ基本的には1社限りなのでその業者で調査資料を集めて判断してもらう方法も通用します。

しかし入札形式であれば、買主候補の宅建業者も他社との価格競争に負けて空振りするリスクを懸念しているので、資料集めまで宅建業者任せにすると億劫に感じ入札自体に参加しない可能性が高いです。

価格競争させるためにも、売主において買取業者に対してなるべく調査の負担やストレスを軽減させてあげる必要が有ります。

提供する資料としては、現地案内図(地図)、登記事項全部証明書、公図、測量図、建物図面、公課証明書、評価証明書、現場写真、最低限としてこれらの資料は提供しましょう(コピーでOK)。

まとめ

大手の不動産会社や街の小さな不動産会社など、

どんな不動産会社に売却を依頼しても、不動産が売れる価格はたった1つです。

なぜなら買主は1人だからです。

買ってくれる人が1人見つかればいいのです。

売れた価格がその時の相場なのです。

相場から外れた販売価格のままだと売れ残っています。

ところが、この入札方式のメリットは、売れる価格が複数、買主も複数となります。

売主にとって選択肢が増え、結果的にその不動産の相場上昇が現実的に見込めます。

本来であれば、売り急ぐが故に価格を下げざるを得ない。。。

しかし、そのような状況でも最後の手段で貪欲に価格上昇を目指す方法が今回ご紹介した内容です。

実際に複数の私のお客様で、業者の買取であっても価格競争により実勢価格に近い価格で成約した成功事例が多数あります。

今後のご売却計画の参考事例の一つとして頂ければ幸いに存じます。

 
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