皆様こんにちは。ファイナンシャルプランナーの近藤喜隆です。「FP試験対策シリーズ」第4回は、「FP3級(ファイナンシャルプランナー3級)技能検定試験:過去問紹介(学科試験)と学習方法について」としてFP3級試験の特に学科試験について具体的な事例(FP3級 過去問)も上げながらご説明していきます。また学習方法について、特に独学の場合の勉強時間についてもご説明していきます。
まず、FP3級学科試験の概要についておさらいしておきましょう。
【FP3級学科試験】
FP3級試験概要
FP6分野の知識を、横断的に問う試験です。出題形式は、○×方式の2択と、3肢択一方式の2種類で構成されています。○×方式が30問、3肢択一方式が30問の計60問です。各分野均等に出題されるため、一分野、各方式5問づつの出題です。マークシート方式。試験時間は、120分です。試験日の午前10:00~12:00に行います。
FP3級試験合格率
FP3級合格率(日本FP協会)
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平成30年1月 |
平成29年9月 |
平成29年5月 |
3級学科試験 |
71.87% |
78.47% |
71.87% |
FP3級合格率(金融財政事情研究会)
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平成30年1月 |
平成29年9月 |
平成29年5月 |
3級学科試験 |
65.34% |
69.95% |
55.12% |
金融財政事情研究会の受験者の合格率は、日本FP協会の合格率と比べ、やや低い傾向にあります。ただし学科試験に関しては、試験問題は全く同じですので、受験者層のレベルの違いと言えます。いずれにしても合格ライン(60%)を突破すればどなたも受かる試験ですから、ご自身さえしっかり得点すれば、周りの受験者層のレベルを気にする必要は全くありません。
※学科合格点:60点満点で36点以上
FP3級過去問ど試験の概要と合格率に関しては以上となります。では今回は、このFP3級学科試験において、過去にどのような問題が出ていたのか、実際のFP3級 過去問を紹介しながら、解説していきましょう。また勉強法についても、どんな参考書やテキストを使ったほうがいいのか、さらには独学の場合の勉強時間についても解説しています。
≪FP3級技能検定試験:過去問紹介(学科試験)と学習方法について≫
1. FP3級 学科試験過去問紹介とその解説
2. FP3級 勉強法について
FP3級 学科試験過去問紹介とその解説
FP3級学科試験は、毎回60問出題されます。各分野から均等に10問づつなのですが、出題形式が○×方式の2択と、3肢択一方式の2種類あるのが、特徴です。○×方式のほうが簡単なイメージがありますが、ところがどっこい、意外に3択方式より難しく感じられる場合もあります。では実際のFP3級 過去問を通し、各方式から2問づつピックアップしご紹介しましょう。いずれも最新の平成30年1月本試験からのご紹介です。
まず事例として、実際の【問題】をご提示します。その後、【解説】を記し、最後に【ワンポイントアドバイス】として、問題に対する取り組み方・考え方をご説明していきます。
○×方式(正誤方式)
事例1
【問題】
定期保険特約付終身保険では、定期保険特約の保険金額を同額で自動更新すると、 更新後の保険料は、通常、更新前よりも安くなる。(平成30年1月試験 問7 リスク)
【解説】
× 不適切。終身保険では、加入・更新年齢が高いほど、通常死亡率が高まるため、保険料は高くなる。更新前より安くなるのは誤りである。
【ワンポイントアドバイス】
このような問題では、一般的に高齢になると死亡率はどうなるのか、常識的な感覚で考えてみると答えに到達することがあります。あきらめずに頑張りましょう。
事例2
【問題】
株式投資に関する評価指標の1つである配当性向は、株価に対する1株当たりの配
当金の割合を示す指標である。(平成30年1月試験 問13 金融)
【解説】
× 不適切。配当性向とは、純利益に対する1株当たりの配当金の割合を示す指標である。株価に対してではない。
【ワンポイントアドバイス】
基本的な金融・株式に関する公式ですね。3級としては、配当性向はやや難解だったかと思います。ただ重要な式でもありますのでぜひ理解しておきたいところです。
いかがでしょうか。これが3級の正誤形式の典型的な問題パターンです。ぜひ慣れておきましょう。では次に三択形式の問題も見てみましょう。
3肢択一方式
事例3
【問題】
老齢基礎年金の受給資格期間を満たすためには、保険料納付済期間、保険料免除期
間等を合算した期間が( )以上必要である。
1) 10年
2) 20年
3) 25年
(平成30年1月試験 問32 ライフ)
【解説】
1、10年。老齢基礎年金の受給資格期間は、10年以上である。
【ワンポイントアドバイス】
やや時事的な問題です。以前の受給資格期間は25年でしたが、平成29年8月より、10年に短縮されましたね。必ず押さえておきたい論点です。
事例4
【問題】
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)は、譲
渡した( ① )において、その所有期間が( ② )を超えていなければ適用を受
けることができない。
1) ① 日の属する年の1月1日 ② 20年
2) ① 日の属する年の1月1日 ② 10年
3) ① 日 ② 20年
(平成30年1月試験 問47 タックス)
【解説】
2)。居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)は、譲
渡した( ① 日の属する年の1月1日 )において、その所有期間が( ② 10年 )を超えていなければ適用を受けることができない。
【ワンポイントアドバイス】
居住用財産の譲渡所得が長期になる場合の定義と、軽減税率の期間要件の二つをマスターしていることが必要ですね。ここもしっかり押さえたい論点です。
いかがでしょうか。これが三択形式の典型的な問題パターンです。ぜひ慣れておきましょう。以上がFP3級過去問の典型的な問題と解説です。わからなかった箇所は、ぜひ各自で勉強されているテキストや参考書で確認しておいてください。
次にFP3級の勉強方法についてみていきましょう。
FP3級 勉強法について
まずFP3級試験の難易度に関してですが、国家試験ではありますが、頑張ればだれもが取れる、やりがいのあるレベルであることが言えます。FP試験は6分野にわたる広範囲な学習が必要となりますが、3級では、あまり細かい論点を追わず、基本に忠実に「浅く・広く・ザックリ」とした学習スタンスが大切です。決して難しい試験ではありません。FP3級試験に関しては、受験資格は特にありませんので、どなたでも受験できます。
さてそのようなFP3級試験についてどのように対策を立て勉強していくのが良いのでしょうか。資格学校へ通う方法、通信教育を受ける方法、まったくの独学で行う方法と様々なスタイルがありますが、ここでは特に独学を前提とした勉強方法について述べていきます。
FP3級独学における基本的スタンス
完全に独学となると、自分だけが頼りとなります。まず大前提として必ずやり抜くという気持ちを持つことが重要です。よくFP3級は、楽勝で受かるなどいう方がいますが、これはあまり鵜吞みにしないほうが良いでしょう。確かに他の国家資格に比べれば、はるかにやさしく合格率も高いのが事実です。しかしだからといって、勉強しないで受かるほど甘いものではありません。試験範囲も6分野にわたりかなり広範囲です。各分野に専門士業の試験があるくらいで、それを横断的に学習するわけです。初めての場合は、特に戸惑うかと思います。ここで大事な心構えが一つ。
FP3級の勉強法は、「浅く・広く・ザックリと」が基本です。
非常に細かい論点を追うのではなく、各分野の全体像をつかむくらいの気持ちでやっていただくことが重要です。ぜひこのスタンスは守り抜いてほしいと思います。そのうえで試験によく出るポイントに絞って重点学習するのです。決して満点を取らなければいけない試験ではないのです。
FP3級独学におけるテキスト・参考書選び、勉強時間
まず独学で大切なのは、テキスト・参考書選びです。むしろこれがすべてと言っても過言ではありません。
なによりも大切なのは、自分自身にあったものを選ぶことです。実際に本屋に行って書棚に並んでいる様々なテキスト・参考書を手に取ってこれだ!と思えるものをチョイスすることをお勧めします。この時大切なのは、決して一番売れているものが自分にとっても一番良いとは限らないのです。またカラフル過ぎるのも考え物かと思います。というのも勉強にあたり、多くの方が自分でアンダーラインを引きたいと思ますが、カラフル過ぎては、そのアンダーラインが目立たず自分のやった痕跡が残しにくくなります。資格学校におけるテキストはよく白黒のものが使われますが、これは講師があとからアンダーラインを指示しやすくするためでもあるのです。市販のテキストは、白黒では売れませんが、カラーになるのもやむを得ないところではありますが。
次に学習時間についてですが、これは人により千差万別でなんとも言えないというのが正直なところです。金融や不動産など今までの業務経験の有無も多少は影響しますし、さらには宅建や証券外務員、税理士、社労士などFPに関連する分野の資格をもっている方であれば、大きなアドバンテージがあるからです。
ただそういうアドバンテージがない方が独学する場合の勉強時間は、どうかというと、あくまで目安ですが、少なくとも40時間は必要かと思います。一つの科目のインプットに5時間しかかけないとしても5×6=30時間です。それに問題演習や過去問解きの時間も加えなければいけません。それを合計10時間としても40時間なのです。一日1時間で月20日学習するとなると20時間ですから、約2か月必要となります。
実際にはもっと多くの時間が必要という方も数多いはずです。でも決して恥じることではありません。それだけ広範囲な試験なのですから。粘り強く行うことが大切です。
さて次回はFP3級実技試験(資産設計提案業務)について、実際の問題も見ながらお話ししていきます。どうぞお楽しみに。
【執筆協力】
■所属
近藤FP事務所 代表 (有)徳友舎 代表取締役
■保有資格
・CFP
・1級FP技能士
・宅建取引士、
・相続アドバイザー協議会(R)上級アドバイザー
■所属・加入団体・等
2009年 資格の学校TAC FP講座講師
2016年 一般社団法人「理想の住まいと資金計画支援機構」千葉支部長
2017年 日本FP協会「2017年度くらしとお金の相談室」相談員