「法人へ寄付する」という選択肢
売れ残った不動産の処分法として寄付がありますが、個人から個人への不動産寄付は相手に少なくない費用がかかる場合があることから敬遠されてしまうこともあります。しかし、相手が法人ということになると相手の費用という面はクリアされる可能性が高くなります。また、土地や建物は事業として使える可能性もあるため喜ばれることもあるでしょう。寄付する相手の法人ですが、その中でも2つに分けられます。一般企業のような営利法人と、公益性が高い公益法人です。この2つの中でも寄付がしやすいのは公益法人になります。では、それぞれの法人への寄付にはどのような違いがあるのか見ていくことにしましょう。
営利法人への寄付はどうでしょうか
個人が一般企業へ寄付を申し出るというケースは、その個人が寄付しようとしている会社に勤めているという場合などが考えられます。そうでなければ、収益が見込めないような用途なしの土地や空き家を譲り受け、税を負担する企業は無いでしょうから。その企業が利用価値のある土地や建物だと判断している場合は、元から売買したり賃貸して利用したりするでしょう。少し脱線しましたが、いずれにせよ個人間の寄付でもそうであるように、個人から法人への寄付の場合も空き家や土地の寄付を受けたことによって利益を得たことになりますので法人側に税金がかかります。個人の場合は贈与税ですが、法人の場合は法人税になります。また、登録免許税なども発生します。そして、意外かもしれませんが、寄付した側にも「みなし譲渡所得課税」が発生してしまう場合があります。もし寄付した空き家や土地の時価が購入したときより値上がりしている場合には寄付によって「所得があったとみなして」課税されることになります。売れ残った不動産の処分ということであれば気にすることではないかもしれませんが、知っておくと良いでしょう。
公益法人への寄付はどうでしょうか
一般的に公益法人は、社団法人や財団法人の他にNPO法人や学校なども該当します。これらの公益法人に寄付することは、相手が教育や文化、社会に貢献するという風にみなされることもあり、税法上の優遇措置があるのです。先ほど解説した営利法人へ寄付した際に発生する「みなし譲渡所得課税」は、一定の要件を満たしている公益法人に寄付する場合は発生しないのです。ただし、「一定の要件を満たしている」と書いたように、この税が非課税となるためには公益性などの認承が必要になります。これをクリアできれば、公益法人への寄付は本来の意味での寄付と言うこともでき、物件も公益用途で使用されることになりますので心情的にはスッキリするかもしれません。