栃木の高校生の雪崩事故には心が痛みます。
いわゆる雪崩における18度の法則で問われる傾斜地の角度。
住宅における階段の角度は、この18度の法則でいくと部屋がなくなってしまいますのでもっと急斜面です。
住宅展示場を見学するとわかるのですが、大手ハスメーカーの住宅でも室内の階段の角度は45度が一般的です。
その寸法は平面図では、幅91cm×長さ273cm(3尺×9尺)となり、面積でちょうど2.48㎡(0.75坪)となります。階段の踊り場として0.82㎡(0.25坪)となりますので最終的に階段の面積は3.3㎡となり、上下階ではその2倍となり6.6㎡(2坪)となります。
三階建てになればその1.5倍の10㎡(3坪)の面積にもなります。
それではその階段は、空き家の予備軍ともなる高齢者住宅のバリアフリーが進む中で、はたして使いやすいのかと思うと決してそうではないように思えます。
具体的に階段の断面図をみていきますと、まずその高低差を蹴上(けあげ)と呼びますがその高さは22cmもあります。
さらに階段の踏み込む面の奥行(踏み面・ふみずら)は23cmとなりますので、1回から2階までの段数は13段で、階段そのものの角度はちょうど45度になります。
古い民家の場合には、この階段の踏み面が13cmと短く階段の長さが91cm(3尺)で一気に2階に上がれる場合があります。
映画「トトロの森」の最初の引っ越しのシーンでもこの急階段はご記憶があると思います。
もし、これから住宅を新築される場合の方は、住宅メーカーの基本設計のままでは将来高齢者になったときにとても使いにくい階段になりますので、この蹴上と踏み面にはこだわりましょう。
もちろんその分住宅の床面積の中で階段の占める面積は増えますのでそれなりの判断が必要になるのはいうまでもありません。
参考までに駅の階段は、エスカレーターの登場で時代に取り残された存在にも感じられるますが、構造的には意外に上りやすく高低差になっています。
国土交通省が2007年まとめた「バリアフリー整備ガイドライン」の中で、駅舎の階段の寸法は、1段の高さ(蹴上げ)が16cm以下、奥行(踏み面)が30cm以上となっています。