栃木のスキー場での高校生の8人が犠牲となった痛ましい雪崩はどうも人災であることがわかってきたようです。
亡くなられた若き命のご冥福を祈るばかりです。
さて、冬山における雪崩には「18度の法則」というものがあります。
この法則は、小説家で雪崩研究家でもある高橋喜平(19010-2006)氏が長年の研究結果から導き出したものです。
冬山登山の世界のみならず、砂防や気象の世界でもその法則が継承されてます。
冬山の雪崩には、今回の事故のような表層雪崩(雪崩が停止した先端から発生地点までの仰角(見通したときの角度)が18度以上)と同じくその仰角が24度以上である
全層雪崩があります。
さて、住宅の場合には雪崩と同じくちょっと小高い丘の上に開発された区画の住宅では土砂崩れが心配になりますね。
この住宅の敷地の高低差や背後の急斜面の土砂災害が気になるところです。
都市部においてもそのような地域が多い町では、行政から「土砂災害警戒区域」というように指定して建築の規制をしているようになっています。
具体的には道路や隣地よりも高低差がある場合は次のようになります。
隣地境界からの傾斜角度が30度以上の場合には、その30度以上の土砂は崩壊するというものです。
そこで何をするかといいますと境界に鉄筋コンクリートの構造計算された擁壁を設置するということになります。
自分の土地の敷地内にその土留めとしての擁壁工事をするのはやむ得ないのですが、隣地の傾斜地の土砂崩れを自分で擁壁をつくらないと建築確認が許可されないという大変厳しい規制にもなっています。
しかし、この規制がはじまったのは概ね昭和50年代以降ですからまだ40年ほどしか経っていません。
そうなると、今話題になっている空き家の敷地はそんな立派な擁壁などはなく、いわゆる玉石(たまいし)や間知(けんち)ブロックの擁壁のため土砂崩れの土留めとしては全く役にはたちません。
特にこの玉石積みの擁壁は、日本中どこにでもある風景ですが、安全性の上では危険そのものといえます。