森友学園の籠池泰典氏証人喚問のTV中継は日本中をかけめぐったようですが、不動産のプロの立場からこの問題を論証してみましょう。
まず、その問題となっている土地の概要を土地謄本から見てみましょう。
所在地は、豊中市野田町204-11、201-13。地目は、池沼から現在は宅地。地積は8,770.43㎡(2850.38坪)。平成17年10月5日土地区画整理法による換地処分。
所有権は、昭和53年11月15日売買・所有者:運輸省(現在の国交省)。平成28年6月20日売買・所有者:学校法人森友学園。買戻特約:10年間。
・・・となっています。
都市計画では、用途地域が、第1種住居地域、建蔽率60%、容積率200%、防火地域となっています。また、庄内・豊南町地区防災街区整備地区計画となっています。
次に、路線価は3方向路線ですが、その最大路線価が145千円となりますが、いわゆる国税庁の評価基準では広大地評価により次の計算式の評価になります。
145千円×8,770.43㎡×035=445,0993.23千円
つまり、この土地の相続税上の課税価額は4億4509万円ということになります。
この価額は、いわゆる物納した場合の評価額にもなりますので、もし、この土地が国有地でなく個人の私有地で国(財務省)へ物納した場合には、4億4509万円ということになります。そして、この物納された土地は、最終的には国有地払下げ(公募)となって売り出され、建売業者やマンションデベロッパーが入札して建売用地やマンション用地として購入することになります。このときの最低入札価格(非公開)はこの4億4509万円になります。
ところが、メデイアが報道する不動産鑑定価格がなんと9億5600万円と法外な?金額となっています。
これはすぐ北側の公示価格(豊中5-11)が205千円/㎡となっていますのでそこを基準にした?かもしれませんが、この公示価格は200㎡(60坪)の住宅地です。
それにしても9億円超は高いように思えます。
埋蔵されていた生活ごみの搬出費用として8億円値引きは、それ自体は通常の不動産取引上はきわめて一般的なことです。
そうなると、本来は買主である森友学園は8億円から▲4億4509万円の差額として、3億5491万円を国からもらえることになります。
籠池理事長が国会で証言した「神風が吹いた」ということは実は神風でもなんでもないということになります。
それにしても、政治家、新聞記者、週刊誌記者、TVキャスター、評論家、有識者もろもろ・・・およそ日本のメデイアに登場する人たちの不動産音痴にはあきれるばかりです。