借地問題はとにかくやっかいです。旧法の借地借家法により借地人の権利は守られているのですが、現実的には20年毎の借地契約更新料と建替承諾料があります。
特に更新料については地代の前払い的性質のものとして考えられています。
借地についての法律的な事例についての判例はすでに定説的になっています。
借地に関する借地人と地主さんとの関係で実務的なところでの事例はさまざまです。
首都圏の借地における相続ではほとんどの相続人が借地という財産に悩んでいます。
駅から数分の一等地であっても借地のために建て替えがままならずその周辺一体に築50年以上の老朽建物が残り、相続のあった借地においては無人化した建物が残存して防災上も問題が出て社会問題化してきています。
その借地問題に多大な影響力をもつ金融機関の保身?問題があります。
借地に融資する金融機関は現状では数少ないのですが、これは借地権の存続問題に借地借家法上きわめて脆弱な権利関係の問題があるのです。
通常、借地といえば借地人絶大なる権利の保障があるということは常識です。
ただし、唯一問題があるのです。
それは地代の未払い発生があったときです。
いわゆる正当事由制度で地主には事実上解約権がなく更新は法定更新が永遠にできるシステムになっていますが、この地代の未払いがあると一気に地主に借地契約の解約権が発生してくるのです。
今から30年前のバブル絶頂の頃は、借地であってもどんどん融資をしていった金融機関だったのです。
しかし、バブル崩壊後の借地人の破産等で地代の未払いが出て借地権が消滅していく事態が出てきたわけです。
借地に融資する場合に通常、金融機関はいわゆる「借地に関する地主の承諾書」なるものを地主から印鑑証明付でとっているのですが、実はこれはただの借地権の譲渡承諾書にすぎません。
借地権が消滅してしまえば譲渡云々といっても話しになりません。
建物にしか抵当権を付けていない金融機関の債権は無残にも借地権とともに消えていったのです。
以後、概ね1996年頃から借地権のマンションやアパートの土地有効活用ローンは市場から姿を消して行ったのです。
私の記憶では最初に融資から手を引いたのは確か国民金融公庫?であったような記憶があります。
そんな時代を経て、現在では金融機関の自由化もすすみ収益性の高い立地のマンション建築の融資に限って融資が再開されてきています。
また、金利が少々高めになりますがノンバンク系でも融資ができるようになてきています。