Aさんが母親から聞かされていることは「今の財産の全ては夫婦二人で裸一貫働いて築いた財産で、先妻には離婚時に財産の全てを渡してあるので今更財産を渡したくない・・・」というものでした。
しかし、残念ながら現在の民法では先妻の子である2人の姉妹へそれぞれ遺産の1/6となり、2人で合わせて全遺産の1/3の遺産を受け取る権利があります。
弁護士を代理人にしたAさんは、半年ほど時間が経過したころ、最終的には相手の主張する遺産分割で和解することになりました。
法定相続の分だけ相手には遺産分割の権利があるわけですからそれを争っても時間の消耗と知ったのです。
遺産分割の内容だけをみれば「弁護士に依頼したのになんにも解決できなかった・・・」という結論です。おまけに時間も半年もかかりまさに弁護士費用もかかりAさんにとっては踏んだり蹴ったりのようです。
ただ、遺産分割の係争に入ってしまった現実の解決策としては、まあこんなものだと納得されたようです。
この半年間にいろいろなことを知りまた勉強したAさんはとても逞しくなり半年前のAさんとは別人のようです。
今のAさんであれば弁護士をたてずに本人自ら交渉の矢面にたつことができたかもしれません。若
いAさんにとっては今回の遺産分割の問題は「人生の一つの大きな出来事でもありまたとても貴重な体験と勉強ができました」と淡々と語り姿が印象的でした。
遺産分割後、Aさんとお母さんはなんとか自宅のマンションと収入源であるもう一つのマンションを相続することができました。
ただ金融資産の3000万円すべてが相手方の相続となりAさんには現金なるものはまったく残らない結果となりました。
まさに苦渋の選択でしたが、自宅と収入源であるマンションを相続できたことはハッピー相続と考えているようです。
一つよかったことは納税した相続税は、三分の一は姉たちが払うことになりそのことだけは負担が減ったようです。
Aさんの母親の希望にはかなわかったようですが、結果的には円満相続で終わったことは何よりです。