不動産相続の現場では、不動産の売却のお話の前に、まず、葬儀、そして家族の宗教が問題になります。
日本人は宗教がないと言われながらも実は神道と仏教の融合された民族であったと見ていくのが自然かもしれません。
「神さま仏さま」と祈る日本人の心は、葬儀ひとつ見てもそれなりの宗教的な世界でもあるわけです。
団塊世代の相続人が登場する時代となった現在、実は団塊世代は政教分離の教育の影響で日本における神道の歴史やその意味もほとんど教育されていません。団塊世代の多くは、小学校や中学校の社会科そして高校の日本史という歴史教育の中で神道というものを正確に理解しないまま大人になったような気がします。
団塊世代の多くは神社神道というきわめて日常的な儀式は、かろうじて家庭における習俗的な慣習として親から教わったものしか記憶にないかもしれません。今、神道とは何かを考えるとあまりにも我々は無知であるような気がしてなりません。
仏教における葬儀の意味は、古来インドにおける釈尊(ブッタ)が手本となります。
いわゆる涅槃(ねはん・ニルバーナー)の世界へ旅たつ儀式でもあったわけです。
この涅槃とは、仏教の世界でいう輪廻(りんね)をしないで涅槃=浄土への旅たちの儀式=葬儀でもあるわけです。
その葬儀の大半が仏式であることを考えますと、仏教というものにも少し雑学的に知っておく必要がでてくるものと思われます。
日本おける仏教史についても少し触れて見ますと、既存宗教の最大勢力である仏教はいわる寺院仏教として日本中の葬儀の中心をなしています。
現代の日本における既存仏教は大きくわけてざっと5つの宗派があります。この5大宗派は、法然が開祖の浄土宗と親鸞が開祖の真宗、臨済宗と曹洞宗と道元が開祖の曹洞宗、そして日蓮が開祖の日蓮宗があります。
もちろんこの5大宗以外にも真言宗・天台宗・時宗・密教等があります。
この5大宗派はいずれも鎌倉時代からの宗教ですが、その宗教の時代は日本おける宗教革命の時代でもあったのです。
現在の日本人の精神世界を形成しているものとしてこの時代の宗教世界がそれぞれに影響していることは確かです。
その宗派には檀家制度(だんかせいど)というものがありまして、これは江戸時代の前後に時間をかけて構築されてきたものです。
檀家制度は江戸幕府のいわゆる宗教統制として人々を寺院に帰属させてきた歴があります。
ただ、多くの寺院は檀家の先祖供養として寺の経営になり仏教信仰は習俗化されて形骸化してしまった弊害は否めないようです。