農家相続をしたAさんの土地は街道に面して自宅と古い平屋の一戸建ての貸家が8戸ほど並びその区画の奥に畑がなんと2000㎡(約600坪)ほどある。
今回売却を考えていたその畑と手前の8戸の貸家の建つ土地との間に赤道(あかみち)が横断していたのです。
赤道(あかみち)とは、農道のことで昔の古い公図(和紙に墨と朱で作成)に赤く朱色にぬられた道をさして、昔から農家の人々はその道を赤道と呼んでいました。
赤道(あかみち)は農道で道路には違いないのですが建築基準法上の道路ではありません。いわゆる接道しない土地(無道路地)になります。
接道しないと家が建てられない土地・(建築確認が取れない土地になります。
その問題を解決する方法もあります。
開発行為といって都市計画法29条に開発許可を得れば、先の赤道(あかみ)問題も解決できます。開発地域全体の中で赤道を考えますので、その赤道は開発される道路の土地として利用することができるからです。
今回の計画では、自宅の門を壊して自宅と蔵の間に開発道路を入れて、さらに貸家の一部を壊していけばそれなりに奥の土地の接道問題はクリアできるのでそれほど心配はないともいえますが・・・。
そうはいっても現実問題として由緒ある築100年以上の古民家の敷地を分断してアスファルト道路が侵入してくるは何とも切ない限りです。
そうこうお悩みされたこの地主さんに朗報がはいりました。
私の提言で土地のかなりの部分で広大地評価の算定が可能ということになり、予想される相続税は当初の予定額の2/3の1300万円ほどになりました。
すると、相続税の納税は何とか預貯金で対応が可能となり、土地売却は不要ということになりました。
地方の農家で1000万円以上の預貯金をもっていることはまだまだめずらしく、区画整理前の農家で相続税を収める事例もとても少なかったようです。
区画整理で農地が分断されてそれなりの土地活用の将来を考えて市街化農地になってしまい高額な路線価によって多額の相続税に苦しむ農家が増えてきたようです。
地方農家の地主の変遷は、土地活用と相続税の狭間で変容してきているようです。