Aさんの相続した土地は、南北に長い敷地で北側に住宅が建っていて南側は広い庭です。敷地面積は300㎡ありますから、相続人はAさんと弟の二人だけということですので、この土地を南北に二分割して北側の部分の土地157.5㎡をAさんが相続して、南側の庭の部分の角地の土地142.5㎡を弟さんが相続することで遺産分割を決めていたようです。
遺産分割協議書もご自身で作成していて、いつでも相続登記ができる状態になっていました。
ただ、Aさんは漠然と自分の相続する北側の土地の私道について漠然と不安があったようだ。幅員4mの舗装道路であり通り抜けもできて外見上は何の問題がないように見えた。
そんな漠然とした不安をいだいての訪問でした。
相談を受けて直感的に疑ったのは、この私道と接道しているかどうかという問題です。早速、その日のうちに建築指導課で道路の扱いを調査してみました。
案の定、予想どおりこの土地の基準法上の扱いは、42条1項5号道路といういわゆる位置指定道路の私道でした。
そこまでは、特に問題がないはずですが、建築指導課で位置指定道路図面を入手して心配はすぐに的中しました。
この位置指定道路はAさんの土地に接道していなかったのです。
公図と住宅地図や現場で判断してもわからないことも図面の照合で一気に問題が判明しました。
実はこの位置指定道路はその道路の東側に50cmほど離して道路の認定をとっていたのでした。
つまり、Aさん土地はこの位置指定道路には接していなくて、第三者の土地に接しているという事実が判明したのです。
現場での道路の実測の道路幅員は5mありますが、認定幅員は4.5mでした。
5m幅すべてが舗装されtいましたので、現場をみるだけでは判断はできません。
そのまま、南北に2分割して相続登記を終えてたら、Aさんの土地は接道がない土地(無道路地)になるところでした。
その後、Aさんは南側の道路から幅3mで敷地延長(通路)する形で遺産分割をやり直すことで危うく難を逃れることができました。
不動産の分割でまず危ない道路がこの位置指定道路です。
私道はとても危ない問題を含んでいるという実態があります。
相続の専門家の方々ではまだまだそういった認識がなされていないのが現実のようで、それはとても残念なことです。