借地は地主さんから見ると貸している土地(借地)は貸地となります。
では、その空き家になっている貸地をもつAさんの事例で具体的なところ事例を検証してみましょう。
Aさんの自宅と隣地の借地関係の土地の区分はちょっとやっかいです。Aさんの土地は1000㎡あります。道路に面して田の字型の4区画の貸地があるのですが、その奥の貸地のひとつとしてBさんに貸している貸地400㎡があります。
ここで問題がある土地はBさんの貸地です。
Bの土地は幅員1mの敷地延長型(通路の奥に土地があるタイプ)でいわゆる建築基準法上の接道義務(接道幅2m以上)を果たしていません。
Aさんにある日突然、解決がすぐにできないような問題がでてきました。奥の空き家の持ち主である借地人のBさんは商売人でしたがある日多額の債務を抱えて自己破産してしまいました。当然、Bさんの借地権であるBの所有する建物と借地権は競売にかかり、ある不動産業者C社が1800万円で落札しました。
落札後、Bさんに代わって新しい借地権者となったC社はAさんに更新料について確認してきました。
困ったのはAさんです。Bの土地の借地権は10年前に更新時期が来ていたのですが、更新料をもらわないまま法廷更新していました。もちろん法定更新ですから更新にともなう契約書などもありません。
地代は月額5万円になっていしました。そこでAさんが新しい借地人となったC社への要求は次のものとなりました。
①更新料として前々回(30年前)の更新料300万円+物価指数換算
②名義変更料として360万円(借地価額3600万円の10%)
このふたつを請求しました。
ここで借地価額3600万円の算定は、相続税評価額が3600万円ということでこの価額を根拠としました。
一般的に借地権価額の決め方は、相続税評価額・不動産鑑定評価額・固定資産税評価額・不動産業者の査定額等が考えられますが特にこれというふうに決まっているわけではありません。
通常はまず路線価が参考にされていきますのでこのように相続税評価額が一番多くとられています。
敷地延長型の土地は相続税の財産評価上は不正形地となりますが、また、接道義務が満たされない土地であってもその評価減はわずかですから、実勢の流通金額とは大きく乖離していきます。
接道義務が満たされない土地は半値八掛け二割引きとなって時価3割程度ですが、今回の落札金額である1800万円ということを見ても結構いい値段がついています。
これにはどうも落札者であるC社に狙いがあったようです。
C社は現在の借地権とあわせて隣の借地権も地上げして最終的に貸地4区画すべての土地1000㎡を開発して分譲開発を計画したようです。
Aさんは、あくまでも借地借家法に従って粛々と交渉した結果、借地人の変更と転売の可能を条件に①更新料と②名義変更料をもらうことで話し合いを経て、最終的にAさんの請求する更新料と名義変更料200万円(借地価額3600万円の5.5%)という内容で無事に解決できたようです。
あてのはずれたC社は建築確認が不要なリフォームで建物を改築して転売したようです。