先日、ある行政の関係先セミナーで今話題の空き家問題の会合に参加してきました。空き家相談はすでに全国800万超となっていますが、さらにいわゆる独居老人が同じく全国500万人超となっていますのでその予備軍も加えると2000万戸?3000万戸?の空き家が想定される時代に突入しています。
空き家問題の中で特に解決の目途がたたない原因のひとつに借地問題があります。この借地問題を借地人ではなく貸主である地主さんから見た借地問題を調べてみましょう。
地主さんにとっての貸地における借地契約は旧法の借地借家法になってます。地主さんが借地人との借地契約を解約しようと思っても、地主さんにとって解約の正当事由によらなければ借地の更新が永遠にできない法律です。地主さんの口からこぼれる言葉「土地は一度貸したら二度と返ってこない」という定説になった次第です。
これを解決するために新借地借家法が平成4年8月に施行され、定期借地権(略して定借・ていしゃく)というものが生まれました。
戦前の借地法は、そもそも定期借地であったのですが、戦前、1940年結社を禁止されたいた保守政党が解散してできた大東亜戦争(太平洋戦争)時代の公事公社(政治団体)である大政翼賛会が中心となって借地権の法定更新をできるようにしました。
この大政翼賛会の初代総裁は当時の首相近衛文麿です。終戦時の総裁は首相鈴木貫太郎でした。
その背景としては、戦地に出た兵士の留守家族の家で借地契約が終了してしまって住む家も無くなっては兵士の士気が下がってしまうと言う危機から借地法を定期の借地から法定更新できるように改定しました。
この法定更新とはいわば法律で定めた自動更新のことで貸主(地主)からの更新拒絶は、正当事由制度により事実上ほとんどできないものになってしまったのです。ではここで認められる正当事由とは何かというと、判例によれば「その土地以外に住むところがない地主に限る」といった極めて非現実的なものになっています。
私は、20年ほど前、この定期借地権の事業に関与した経緯があるのですが、定借についてはもうそれが世に出て20年が経とうとしています。残念ながら、事業定借はロードサイドなどの店舗事業では定番なりましたが、個人の住宅で活用され一般定借は市場からはほとんど消えてしまいました。
さて、地主さんにとって旧法の借地借家法の現場での問題点に何があって何をどうのように解決していのかを探ってみましょう。(続く・・・・)