民法通りにはいかなくても合意した訳とは
遺産分割協議の話し合いで爆発した親子の確執とはものすごいものです。
話し合いは最初から膠着状態となってしまいました。
3人の息子たちはほんの少しだけ譲歩し、「自宅を除外した金融資産4,000 万円のうち遺留分相当の1000 万円なら渡す」と主張されましたが,そこから先は一歩も譲らなかったのです。
自宅を母親に渡すことは絶対にできないとかたくなに主張する3人の息子さんです。
何か理由がありそうです。自宅には、亡くなった父親が一人で住んでいました。奥さんはご主人とは別居中でしたから相続の時にはいわゆる空き家状態となっていました。
その理由はそれなりに訳があったようです。
30 坪ほどの土地と築30 年以上の建物からなる自宅は、20 年以上前に父親が中古物件を購入したものであり、数年前に母親が離婚を前提に家を飛び出た後も、3 人の息子と父親の思い出の家である自宅を相続する権利は母親にはないはずだという主張です。
はじめは泣き喚きながら反論していた奥さんでしたが、 最終的には息子たちの
主張する遺産分割協議に同意することになりました。
最終的に遺産分割協議には、ご主人の母親、つまりは息子3人の祖母が立ち会うことでなんとか無事に解決することになりました。
実は、家事を放棄してきた奥さんに代わってこの祖母が孫たちの支援してきたことが大きな理由です。
祖母は、90歳と高齢ではあるのですが、いわゆる大正生まれの女学校出のとても品のあるご婦人でした。
話し合いの中で、祖母は最終的に遺産分割を采配していく姿にだれも反論することはできませんでした。
遺産をそれほど受け取れなくても奥さんにはご主人の遺族年金があることが大きな支えとなったようです。
祖母には、奥さんはもちろんのこと3人の息子さんも反論は全くできないようでした。
奥さんは法廷闘争すれば勝てることも知っていましたが、骨肉の争いを息子たちとこれ以上する気持ちになれなかったようです。表面上は円満相続ということになります。
離婚後であれば、ご主人の遺産は一切相続できなかったわけですので最終的には納得の相続になったようです。