道路がない?
自宅と賃貸マンションの敷地としての土地400 坪は、東南角地に位置する土地です。
接道する道路は南側が幅員6mの公道。
そして、東側が幅員4.5mの私道となっています。
土地の西側半分の200 坪には3階建ての賃貸マンションが建っています。東南角地の東側200 坪は南側が自宅100 坪、北側100 坪が駐車場です。
今回の相続でこの駐車場はすでに全て駐車場契約の解約が完了しています。
いよいよ相続税の申告と納税を2ヶ月後に控えたAさんは、土地の売却を具体的に進めることにしました。
すると、相談した不動産屋さんから衝撃の事実が伝えられました。
「お客さん!駐車場の土地には道路がないので売れませんよ!家が建たないんですよ。いわゆる死地(しにち)ですね・・・。」
愕然したAさんには、ショックでしばらく口も聞けませんでした。
位置指定道路に接道していない土地とは
不動産業者の具体的な説明はこうです。
駐車場の東側にある道路は私道ですが建築基準法第42 条1項5号道路でいわゆる位置指定道路です。
現況の幅員は4.5mあるのですが、認定幅員は4.0mであるため、0.5m部分は道路でなくただの通路であるということになります。
つまりその0.5m部分は、建築基準法上の道路ではないので認定道路とは0.5m離れている駐車場は接道をしない接道義務違反の土地で建築不可の土地になります。
この私道は約50 年前の昭和39年に認定された位置指定道路ですが、当時の道路の幅員は、4.0mで道路端に0.5mほどののり地(崖地)
があったとのことです。
昭和39 年から昭和50 年頃までは、この道路は砂利道でありのり地もあったようですが、その後、舗装されてのり地も盛り土されて舗装され、現況の幅員は4.5mになってしまったようです。
接道義務違反の土地の解決策とは
相続税1億円の原資としてこの土地の売却を考えていたAさんは、ただ途方に暮れるばかりでだれにも相談できずに無道路地で土地が売れない事態に追い込まれたAさんの驚きと落胆は計り知れなかったようです。
何日か経って、気を取り直したAさんは知人からの紹介で不動産に強い相続士と出会うことができ、ようやく解決の目処がついてきました。
その解決方法とはなんと自宅の改造だったのです。
自宅の半分を解体すれば奥の駐車場からの土地を延長して南側の公道に接道することが可能になるというのです。
しかし、半分といっても父親の思い出が籠った父親の部屋だったようです。
その2部屋は想い出のいっぱい詰まった父親の書斎と寝室でした。
第2次案は、自宅をまるまる残す方法として、駐車場の土地に自宅を曳家(ひきや)工事で移し、自宅のあった土地を売却することも検討されましたが、自宅の一部解体と壁面修復工事に比べ曳家工事のほうがはるかに費用がかかるようでした。
納税資金の確保という目的での土地売却ですので曳家の予算まではとても取れないということになりました。
Aさんは、苦最終的に苦渋の選択としてその2部屋の解体をすることにされました。
駐車場は無事に自宅南側の公道に接道する土地に復元されました。
そして、1億円の相続税を預貯金と合わせて無事に納税することができたことは言うまでもありません。。