不動産をせっかく売却するからには、利益を出して売却することが理想なのはもちろんですが、こういうやり方もあります。
物件を複数持っていて、同じ年度内に、他の物件を既に売却して、利益が出ている場合にできるやり方です。
年度内とは、個人の場合は1月〜12月、法人の場合は、定款などに記載した期間です。
もっとも、法人の場合は譲渡所得という区分がないですし、個人の、特に短期譲渡扱いとなる売却の税率が高いので、個人の場合に特に有効だと思います。
個人の譲渡所得の区分として考えたほうがわかりやすいと思いますが、同じ年度内の場合は、この利益と損失を合算できます。
特に短期譲渡の場合は、所得税30%、住民税9%、さらには復興所得税までかかってきますので、利益額に対して計39%以上の税金がかかります。
既にその年度内に利益額が大きく出てしまっている場合に、別の物件を赤字で売却し、それをしなかった場合に支払う39%以上の税金を上回る効果が出るならば、売却して良いと思います。
ただ、このときに注意すべきなのは、売却のときにかかる諸費用と、税金の計算です。
特に個人の譲渡所得の場合は、意外に経費に認められないものが多いので、計算を正確にして判断する必要があります。
税理士や税務署などに、事前に経費が具体的にどれくらい認められるかについて確認ひておいたほうが無難でしょう。
あえて赤字売却をするスキームを使うと、物件の利回りが上がり、買い手がつきやすくなるので、物件によっては一瞬でなくなってしまうようなものも出てきます。
あるいは、法人を所有している人の場合は、もう一人誰かに協力してもらうことによって、物件を三者で回してこのスキームを使う人もいると聞きます。
この場合に注意すべきなのはやはり諸費用と、不動産取得税と司法書士費用が2回(協力してもらう人と法人)かかることです。
このスキームを使って考えてみると、売却の幅が広がりますし、面白いですね。