不動産の売却を考えるときには、保有していることによる利益をどこまで掴んで、いくらで売却するかという戦略が重要です。売却が決済されるまでは利益が確定していませんので、この潜在的な利益のことを含み益と言います。
つまり、ここでいう含み益とは、
想定売却価格−購入価格+インカムゲイン収入−ランニングコスト
の概念です。
この式で考えたときに、購入価格は過去のものなので変化せず固定です。また、これには購入時にかかった諸費用を含めて考える必要があります。
想定売却価格は、そのときの市場情勢にもよりますが、家賃収入を踏まえた収益還元法で、いくらぐらいで売却できるかを想定しておきましょう。
そしてインカムゲイン収入をプラスするということが含み益の概念として大きな要素です。折れ線グラフで考えるとわかりやすいと思いますが、文章で表現する必要があるので、頭の中で折れ線グラフをイメージしてください。
スタート地点は、想定売却価格=購入価格として、インカムゲイン収入は0です。しかし時間をかけていくことによって、仮に想定売却価格が徐々に下がってきたとしても、毎月のインカムゲイン収入を得ることで実質的に含み益が拡大していくイメージです。グラフでいうと、想定売却価格の線と損益分岐線の幅が徐々に広がっていくイメージです。
このインカムゲイン収入は、毎月余るキャッシュフローとして考えても良いし、借入をしてその物件を運用している場合は、借入の残債の減少として考えても良いです。
購入時にどんな物件でも諸費用が必ず発生しているので、これをカバーする金額で売却しなければならないということが重要です。
なお、一般的には、築年数がある程度経って物件価格や家賃収入の金額の下落がそんなに大きくない物件のほうが、この含み益の概念は活用しやすいことが多いです。新しい物件や立地が劣る物件ほど、物件価格や家賃収入の金額の下落が大きいからです。
何年後にいくらで売却するか、という出口戦略を描いた上で購入する物件の選定もしていくことが投資の成功の鍵ですね。