近年、空き家の増加が大きな社会問題となってきています。
とりわけ、空き家を多く抱える自治体にとっては、空き家の管理や撤去に手間・人手・費用がかかる、住民が少なくなることで税収が減ってしまうといった問題につながるため、緊急に対処しなければならない懸案事項です。
そこで、空き家問題に対処するために、全国の自治体では「空き家バンク」という制度を導入しているところが多数あります。
今回は、この「空き家バンク」の成功事例を探っていきます。
そもそも空き家バンクとは?
まずは、空き家バンクについて簡単に説明しておきましょう。
空き家バンクは空き家の所有者と、空き家に住みたい・空き家を借りたいという人をマッチングするための仕組みです。
自治体や、自治体から委託された団体が運営しているケースが多く、一般の不動産業者とは異なり、営利目的での運営ではないのが特徴です。
しかし、所有者と利用者をマッチングするだけであれば、不動産業者のホームページやポータルサイトなどでも十分に事足ります。
では、一定の成果が生まれている空き家バンクを運営する自治体には、どのような特徴があるのでしょうか。
岩手県遠野市
まず最初は、岩手県遠野市の事例です。
遠野市が特徴的なのは、「定住」までに段階を踏んだ戦略を取っているということです。
まずは短期で、次にある程度長期で、そして最終的に定住してもらう・・・というように、段階を踏みながら遠野市の良さを知ってもらえるような施策をとっています。
IターンやUターン者に対するアピールも積極的に行っており、空き家バンクを運営している自治体だけではなく、市や地域全体で空き家問題を解決していこうという姿勢が随所に見られます。
空き家問題の解決に最も重要なのは、こうした当事者意識なのかもしれません。
山梨県山梨市
続いては、山梨県山梨市の事例です。
山梨市の場合は、山梨市のみならず、周辺の市町村まで巻き込んで空き家バンクの提携を行っています。
移住を検討している人は最初から「山梨市に移住しよう!」と決めているわけではなく、「何となく山梨っていいなぁ」と思っている場合が多いはずです。
そういった人達に、山梨市以外の周辺の市町村の情報も一緒に提供することで、移住検討者に多様な選択肢を与えることが可能になります。
これは、色々な情報を吟味した上で移住先を決定したいという、移住検討者のニーズにも当てはまります。
以上、空き家バンクで成功した事例を紹介しました。
ただ単に情報を提供するだけではなく、そこにどのような付加価値を乗せるのか、移住検討者にはどのようなニーズがあるのか、ということをしっかり考えて運営されている空き家バンクは、ある程度の成功を収めているようです。
ひいては、その自治体が移住者にとって「優しい」自治体であるかどうかの指標にもなると思いますので、空き家を探して移住を検討している方は、是非参考にしてみてください。