ご自分で、土地を購入してマイホームを建てた人にとっては、両親が亡くなったりした後に相続する実家という不動産は、正直言ってあまり好ましくない資産となることがあります。自分としては家も土地もありますから、これ以上不動産を所有していても仕方ない訳です。土地や建物などの不動産は、所有しているだけでも毎年税金が課税されてしまいます。つまり、不動産を所有していても出費が増えるだけなのです。ですから、なんとか状況を打破したいと考えて不動産業者に相談してみると、実家を取り壊して賃貸物件を建設し、家賃収入を得る…などの対策を提案してくる場合があります。
賃貸物件の運営
当然ですが、賃貸物件を建ててオーナーとなり家賃収入を得るためには、入居者がいることが大前提です。不動産関係の業者が賃貸物件の運営を提案してくる場合には、駅からの距離だとか住宅の密集度、周囲にある商店街の情報などから、どのぐらいの家賃収入が見込めます…という話になるかと思います。ですが、「見込み」はあくまでも見込みでしかなく、その収入が保証されている訳ではありません。業者が提案してくるプランは、一括借り上げ方式で家賃収入を保証する以外は、いつ、居室に空室が出来てしまうか分かりません。そのため、家賃収入の目安として全ての居室が満床となった場合の9割などで試算されています。つまりここが保証されていなければ、賃貸物件を兼営しても意味がなくなってしまうのです。
「何もしない」ことこそ正解
今の時代は、不動産というのは資産、財産とはなりえません。有効に活用しようとしても、自分ではどうにも出来ないことも多々あります。ただ、ここで考えた例の場合、実家の建物だけは処分しておいてもよいかもしれません。土地だけでも固定資産税は課税されますが、建物があるよりも軽減されます。しかも、一度賃貸物件を建ててしまうと、その後も賃貸物件としてしか評価されませんが、更地で残しておけば、相続の時に物納することも可能です。このような訳で、何もしないことこそ真の意味で不動産を活用出来ているのかもしれません