現在から遡ること数十年、昭和から平成に元号が移る頃、日本で特異な経済現象が起きたことはご存じでしょうか。いわゆる「バブル経済」です。この背景に、「土地は値下がりしない」という、土地神話がありました。

現在と共通するのは、当時の政府が金融緩和政策を続けていて、低金利だったということです。金融機関に預金していても、利子が殆ど付かないので、投資に関心を持つ人が増えていますが、不動産は儲かるのでしょうか。

1.不動産の特徴はご存じですか

金融機関に預金していても、殆ど金利がつかないということで、投資に関心を持つ人が増えてきています。最も身近な投資は、株式や債券などの証券投資ですが、高利回りという点で、不動産投資を始める人も増えているようです。

不動産は、他の投資と違う特徴があります。キーワードとして、私が思うのは次の3つです。

・リフレ政策

・相続

・老朽化

1-1.リフレ政策

財産は、お金で保有するか、物で保有するかの選択肢があります。金利が高ければ、お金で保有して、貸した方がいいですし、金利が低ければ、投資で運用した方がいいです。緩やかな物価上昇が続く経済状況を「リフレ」といいますが、現政権の経済政策は、年率2%の物価上昇の継続を目標にしています。

この政策が続く間は、金利は低く推移しますし、年率2%の物価上昇が継続するのであれば、不動産で財産を持っておくことは危険とは言えないと思います。

1-2.相続

相続税対策で不動産を買う人がおられます。確かに一時的な節税になるかもしれませんが、不動産は遺産分割の際に紛争の種になることが多いです。

1-3.老朽化

不動産は土地の部分と、建物の部分があります。建物部分は時間と共に老朽化して、その価値が下がっていくという性質があります。従って建物が建てたなら、すぐに利用して価値を生み出すようにする必要があります。

2.不動産は儲かる?

不動産には「短期保有で転売を繰り返して利ざやを稼ぐ」、「長期保有で家賃収入を得る」という、2つの利用方法があります。前者はキャピタルゲイン、後者はインカムゲインに注目した投資になります。

キャピタルゲイン、インカムゲインのいずれを重視するのかは、不動産市場の動向や、その時の金融市場の動向の他、税制や規制緩和の動きが関係してきます。

不動産投資には、まとまったお金が必要で、立地によって収益性が全く異なり、物件選びに専門的な視点が必要なことがあります。こうした難しい面を、ある程度カバーできる金融商品として、お勧めしたいのが「J-REIT」という、不動産投資信託です。

3.リスクを知っておく

不動産を使ってビジネスや利殖をする場合は、次のリスクがあることを知っておくといいでしょう。

・物件や家賃値下がり:近隣に競合物件が増加することで発生

・空き室:近隣に競合物件が増加することで発生

・その他:金利上昇リスク、自然災害リスク、など

賃貸で儲けようとすると、お客さんはテナントになります。近隣に競合物件が増加すると、当然のことですが、テナントの奪い合いになって収益性が著しく悪化します。空き室の増加についても同様です。

その他、現在の低金利がいつまで続くかわかりませんし、首都直下地震など大きな地震が予想されているので、発生した場合の被害の程度によっては、賃貸の継続が困難になる場合も考えられます。

4.まとめ

財産として不動産を購入し、その利用によって不労所得を得て暮らすというのは、相応のリスクやデメリットがあるということに注意が必要です。しかし、チャンスがあれば、不動産を上手に使って成功する可能性があるのは、米国の大統領が立証していますね。
 
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