相続で引き継いだ不動産、建物が古いし使わないし、放置すると近隣から苦情が多い、といったお悩みを抱えている方はおられませんか。古い建物があると管理の問題がどうしても気になりますね。

こうした場合、思い切って建物を取り壊しして更地にするという方法もあります。更地にすると売却においても有利になりますし、管理もある程度は楽になります。

1.古い建物は取り壊した方がいい?

日本にある住宅、特に東京を中心とした首都圏、大阪を中心とした近畿圏は、戦後の焼け野原から復興の時期にかけて、短い期間に集中して建てられたものが多くなっています。

首都圏だと昭和39年の東京五輪、近畿圏だと昭和45年までに建てられた住宅が多くあるのではないでしょうか。相続で引き継いだ不動産の中心は、こうした時代に建てられた物件が多く、木造家屋の場合は平均築年数は27年と言われていますが、50年近く経過しても空き家として残っている家は多いようです。

中古住宅の価値として、土地部分と建物部分を考えた場合、建物部分は約30年で、その価値はほぼゼロになると言われています。そのまま存置しておくと、壁面の剥離や設置物の落下など、付近の方に迷惑がかかるリスクが増えてきます。

2.更地にするメリット

土地部分については、建物部分とは違います。土地の価値は、その存在する場所の付近の開発や整備が進めば、それに伴って増加するというのが一般的です。よって、土地の利用を制約している古い建物を取り壊して撤去し、更地にすれば不動産の価値が高まり、古い建物の壁面の剥離や設置物の落下など、付近の方に迷惑がかかるリスクを無くすことができます。

売却の際にも、古い家が残っている場合と更地の場合とは、価格が違ってきますし、更地の場合の方が早く売却できる可能性が高いと思います。

3.注意するポイント

更地にする場合、次のことに注意が必要です。

・更地化で発生する建物取り壊し工事において、取り壊された建物は産業廃棄物となり、処分費用がかなりかかる

・更地にしてすぐに売却できればよいが、買い手が見つからない場合は、除草費用が生じたり、建物があった時より固定資産税などの支払金額が大きくなる

取り壊された建物は、場内における「ゴミ」として取り扱われます。紙くずなどの一般廃棄物ではなく、産業廃棄物となりますので、場外に持ち出して処分する費用がかなり高いです。ニュースでよく取り上げられた「森友学園」の件で、既にご承知の方は多いかもしれません。

また、更地は建物がある「建て付け地」と明確に区分されていて、固定資産税評価額は高くなります。さらに居住用ということで優遇されていた税率も、優遇のない通常の税率適用になるので、更地化のタイミングに気をつけるほうがいいでしょう。

4.まとめ

建物に一定の文化的価値があるなど特殊なケースを除けば、更地化は不動産を高く、早めに売りたい場合に有利です。しかし、不動産の価値が高まる一方で、取り壊した古い建物の処分にお金がかかりますし、更地化後に売却がうまくいかないと、税金などを余分に払う場合があります。総合的な判断は、信頼できる不動産屋さんに相談した後の方がいいと思います。

 
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