マイホームを買う場合、一定以上の年収がある方は、可能な限り広い敷地や間取りの物件を希望されるでしょう。物件価格と年収の関係は、住宅ローンの審査でも重要なポイントになりますが、住宅ローンは年収の何倍まで借りるのがいいのでしょうか。
1.融資可能額と返済可能額の違い
住宅ローンと年収の関係を調べる上で、「融資可能額」と「返済可能額」は違うということを知っておくといいでしょう。
1-1.融資可能額とは
融資可能額は、お金を貸す側の視点でみた場合の住宅ローンの金額と考えていいと思います。借り手の提供した情報を元に、お金を貸す側が返済による回収が確実と考える金額です。誤解しやすいのは、借り手がこの金額を基準にお金を借りてしまうことです。
お金を沢山借りると、決まった期間内に返すということだと、それだけ返済の負担も大きいということになりますね。従って、お金を貸す側の提案を鵜呑みにして住宅ローンを組むというのは、あまり良くないと思います。
1-2.返済可能額
融資可能額は、お金を貸す側の視点でみた場合の住宅ローンの金額とすれば、返済可能額はお金を借りる側の視点でみた場合の住宅ローンの金額と言えるでしょう。
住宅ローンの返済は、長い期間に及ぶことが殆どですし、その間に収入や家族の状況の変化が生じて、家計の支出構成が大きく変わる可能性があります。こうしたリスクは、前述の融資可能額には織り込まれていないと考えられます。よって、融資可能額に対して、返済可能額はこうしたリスクを織り込んで、いくらか割り引いた金額になると思います。
住宅ローンを組む場合は、融資可能額ではなく返済可能額を基準にすることで、以後に住宅ローンの返済に苦しむ可能性は少なくなると思います。
2.年収は増えているのか
政府の関係者は「景気は回復基調にある」ということを様々なメディアを通じて言ってきていますが、年収は増えているのでしょうか。国税庁が行った最近の調査によると、平均年収の推移は次のようになっています。
リーマンショックや東日本大震災があった年や消費税が増税となった年を除き、過去10年で見ると、横這いか微増といった状況です。こうした状況を景気回復とみるかどうかは微妙ですね。
3.年収倍率の実情はどうなのか
年収倍率の実情について、住宅金融支援機構の2014年度調査によると、戸建て住宅のケースで注文住宅は直近で6.1~7.1倍、建売り住宅やマンションだと5.2~6.8倍となっています。
注文住宅、建売り住宅やマンションとも、金融機関が融資に力を入れていることや、低金利が続いている背景もあって、住宅ローンの年収倍率は増加する傾向がみられます。
4.まとめ
住宅ローンの返済でお悩みの方に共通しているのは、将来の見通しを考えずに多めにお金を借りている点だと思います。金利が低いとはいっても、住宅ローンは期日までに返済しなければならないので、年収の5倍程度として頭金をしっかりと貯めておく方がいいと思います。