不動産売却をお考えの方で、無料査定などで不動産屋さんから価格提示を受けたものの、その価格が本当に正しいのかどうか、どうやって決まったのかわからないとお感じの方は多いと思います。そもそも不動産の価格はどのように決まるのでしょうか。
1.価格を決める手順は基準で決められています
土地は、基本的に自由に製造したりすることはできません。また、社会や経済活動の基本となるものとして、法律や基準に基づいて価格が決められます。
1-1.土地の価格に関する法律
土地や建物など不動産の価値を調査し、その価格を決定する作業を「不動産の鑑定評価」といいます。「不動産の鑑定評価」については、「不動産の鑑定評価に関する法律」(昭和38年法律第152号)の他、政令や規則で定められています。
1-2.不動産の価格を決める基準
「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて、公的な資格を有する専門家が「不動産の鑑定評価」を行う際の基準を定めています。この基準は「不動産の鑑定評価等」と呼ばれています。基準を定めることによって、公正で客観的に、一定の手順に従って「不動産の経済的価値を決めることができる」と考えていいでしょう。
2.土地の価格は三種類あります
お役所が調査を行い、公表する土地の価格の情報として、次の三つがよく知られています。
・地価公示価格
・路線価格
・固定資産評価額
2-1.地価公示価格
国土交通省が毎年一度行う、土地の価格に関する全国調査に基づいて決められ、公表する価格です。
2-2.路線価格
国税庁が、相続税などの課税において用いるために定めている土地の価格です。道路に面している宅地、商業地などに関する土地の価格です。
2-3.固定資産評価額
市役所など自治体が固定資産税を課す際、基礎としている土地の価格です。住宅などについては建物部分も固定資産評価額が決められています。建物部分は時間と共に価値が減るので、定期的に見直しがあります。
3.不動産の鑑定には資格が必要です
お役所が調査を行い、公表する土地の価格は社会的、経済的な面から重要な「宅地」「商業地」がほとんどです。これ以外の用途で利用されている土地、例えば「農地」「山林」「原野」などは、売買件数が少なく、売買事例も少ないのが普通です。こうした土地では、第三者の客観的な視点で「公正な鑑定」を受ける必要が出てきます。
この「公正な鑑定」は誰でも行える訳ではありません。不動産の価格調査を含む、鑑定評価は、「不動産鑑定士」という公的な資格を持った専門家によって実施されます。
4.まとめ
土地や建物の価格は基本的に、売り手と買い手の交渉で決めるものです。しかし、交渉相手の一方がいない場合に、財産としてどのくらいなのか知っておくと安心です。不動産鑑定評価は、そうしたニーズに対して行われるということになります。