相続でトラブルが起きる原因に、ただ単に、財産がいくらもらえる、もらえる財産が兄弟間で不公平だといった財産の取り合いの話の前に、相続前の兄弟間の駆け引き等、いかに自分が有利になれるかの綱引き合戦に嫌気をさしてしまうことが挙げられます。
長男が家督を継ぐので、次男は法定定相続分を主張する気は、さらさらになく、提示されたもので了承しようと思っていますが、同居している長男の方が何かと弟の動向が気になり生前に親の財産を自分の名義に変えてしまったりとか、親の財産を教えてくれなかったりとか、このような時は何かと人相も悪くなってきます。
そのような、その気もないのに、やけに冷たい態度であったりとか、何かと絡んできたりとか、とかく兄弟というのは一つ間違えると厄介な存在となってきます。
財産が絡んできますから、欲がでてきたら、収拾がつきません。
財産の多くを家督の長男に継がせたいと思っている場合は、その着地にいたるプロセスを大事にしないといけないでしょう。
よく相続が起きて争続になったというお話が多いですが、実は、当たり前のお話ですが、相続が始まる前に争いの火種はくすぶってきていることが多いと思います。
それでも、一次相続であれば母親が子供たちの考えを手中に収めいざこざの目を摘み取ってしまうことでしょう。
母親にとって、60歳過ぎた大人であっても子供は子供です。
止めなさいの一言で収拾はつくことでしょう。
問題なのは2次相続です。
争いの防波堤であった母親の相続です。
母親が死亡することは父親の死亡より悲しみは深いものかもしれません。
私は男ですから、悔しいと思いながらも妻の方が子供たちは悲しみにくれるのでは思っています。
そう考えますと、やはり、大事なのは2次相続に向けての円満、円滑な相続対策でしょう。
相続前に兄弟間で疑心暗鬼にならないようにする。
相続前に決定的に疑心暗鬼になっていては、相続が始まってしまってはもう後戻りはできないでしょう。
相続の始まる前から、分割案を考えて遺言書を準備しておくだけでなく、生前の子供たちの気持ちのケアが一番大事なことかも知れません。