前回、同タイトルのコラムを掲載させていただきました。
前回は相続財産の内に不動産は住居のみの2世帯住宅を例にしてお話をさせて頂きましたが、今回は相続財産の内に多数の不動産を所有している場合のお話をさせていただきます。
相続税対策の定番の方法としては、親族への生前贈与、生命保険の非課税の活用、配偶者への居住用財産の贈与、養子縁組、小規模宅地等の特例の適用、不動産対策、が挙げられます。
納税資金の準備としては、まず、生命保険の活用があげられます。
納税額に相当する金融資産があるときはその金融資産で生命保険に加入しておけば、いざ、相続が発生したときには遺産分割協議や全員の相続人の合意書がなくとも相続発生後、数日がたてば保険金受取人に保険金が振り込まれますので何かと現金が必要となった時に有効な手段となり得ます。
そして不動産による納税対策とは言わずともしれた不動産を少しでも高く売却することです。
その売却した資金で納税資金に充当し残余部分があるときは、いかに有効な資産運用をおこなっていくかがポイントとなるでしょう。
さらに不動産による納税対策としては、節税対策とも重なってきますが、アパート等の土地の活用等があげられます。
土地の評価額減と建物建築資金と建物の相続税評価額との乖離による評価減からなる節税効果が得られます。さらに、家賃収入から得られる損益収支益を終身保険の保険料等に充当すればいざというときの納税資金の準備が可能となります。
もっとも一番のポイントは遺産分割となりますので、相続人間の遺してあげたい財産の整理が第一となります。
不動産が多ければ、どの不動産を、どの子に遺してあげるかを考えておくことが重要です。
このように、相続に関して、不動産にはさまざまな役割が生じてくることになります。
遺産分割に納税、節税とありとあらゆる対策は、不動産対策そのものと言って過言ではないと言えるでしょう。
その不動産対策で大事なことは、不動産を細かに調査して、どのように利用していくかの分類をすることでしょう。
不動産の現地調査、役所調査を通して、相続税の計算のための評価額、売却した場合の査定額、さらに不動産の相続税の評価額が算出できれば相続税のシミュレーションの計算は容易となりますので、いま現在の状況で相続税はいかほどかかるものであろうかを探っておきます。
そうすることで、大方の納税のために準備すべき必要額が見えてきます。
手元に金融資産が無ければ手持ちの不動産の売却で準備するほかはないでしょう。
そして、続いては、どの不動産から売却していくかを考えなければなりません。
出来ることであれば、将来にわたっての資産価値が低そうなものであろうものから売却していきたいところです。
この納税のための売却に関しましては、生前中に、じっくりと検討したうえで時間をかけて実践していきたいところです。
いざ、相続が発生して何の準備もしていなかった時には、申告期限までの納付のために虎の子ともいうべき優良な不動産を売却してしまい相続後には見劣りする不動産ばかりが残ってしまったということは、良く耳にするお話ではあります。
やはり、大事なことは生前に不動産の調査をきちんと行い、道路や法令上の問題はないのか、市場性はどうなのか、今後の動向を見極める分析を行い方向性を決めてから具体的に相続対策を計画していくことでしょう。
何から売却していくのか、売却候補の土地は駐車場等で当面はキャッシュを稼ぐ、おして時期を見て一気に売却しその売却資金は生命保険等に転嫁しておくなどを計画してみましょう。