よく、相続対策としてまずはじめに相続税のシミュレーションを計算しますが、相続税シミュレーションで測定する不動産の価値は当たり前のお話ですが相続税の財産評価額です。
不動産の相続税のための評価額はあくまでも相続税を計算するためのものであり、実際に売れるであろう価格とは異なってきます。
相続対策では、この相続税の計算が分かること、そして相続税を下げることができる税務上のテクニカルな面がクロースアップされがちですが、実は、遺産分割や納税対策を考える上で考えるべき不動産の価値は売ったら幾らの価値となります。
そして、相続発生後の承継した不動産が産み出す価値の比較も重要となります。
そのような観点から、納税用に処分する土地、相続発生後に将来にわたって稼いでもらう土地、自分たちの居住や事業に使う土地等に区分整理していくことが重要です。
その組み立てがいかに適正、というか、よりよいかたちでのこせるものなのか、が実はとても重要なことではないでしょうか。
ともすると、相続税という税金の対策ばかりに思考回路が集中し、安定経営の面でとてもリスクの高いアパート建築に手を出し、10年後、15年後にローンの返済に窮し、結果、全ての継承した財産を失くすことになってしまったという例は数限りなくあります。
建設会社も不動産会社も、あろうことか金融機関までもが、そのリスクには触れずに、節税ができる事実をことさらに強調しその事業を奨めていきます。
そのような状況ですから、極論の話、全てにおいて自分自身で、将来の財産を持続所有していける手段を考えなければなさそうです。
要は、財産の全ての価値を理解できるようになれればいいのかもしれません。
または、信頼のおけるベストなアドバイザーを探すかでしょう。
本当に信頼のおけるアドバイザーであれば、多少のコンサルタント料は、かなりのお得なものとなって帰ってくるかもしれません。
じつは、相続対策でうまくいかなかった例で共通するのは、その対策を依頼した人選ミスによるものが多いのです。
おいしいことは、ことさらに強調し、リスクについてあまり話したがらない人には一応の警戒をしてみてください。
そして、全てを理解することは必要ないのですが、これは何かひっかるな程度が感じ取れるくらいの広くて浅い知識の習得は心がけて欲しいと思います。