相続財産に占める不動産の割合は、日本全国平均で50%を超えると言われています。
首都圏や大阪圏などの大都市圏内では、その割合はさらに高いものとなってくるでしょう。
土地をたくさん所有しているいわゆる地主さん達の相続が発生した時は、当然に多額の相続税の支払いに苦しむこととなります。
不動産をたくさん所有し資産家と呼ばれていたとしても決して金融資産が充分に用意されているわけではありません。
大多数は、不動産の一部を売却するか物納による納税を考える他はないでしょう。
物納は先の改正でその要件がかなり厳しくなってきました。
隣地や道路との境界は確定していなければならない、土壌汚染があった場合はきれいな状態に戻さなければならない、法令違反となっている使われ方は是正して法令上の違反行為はないものとする、など、事前の準備が結構、面倒なものとなってきました。
もっとも、不動産の流動化が認められたことから、不動産の売買取引はかなり厳格化されましたので、その変化にあわせて当然に物納の用件も厳しくなったと思われます。
そこまでの準備が必要であるならば、生前中に時間をかけてじっくり希望価格で売却して納税に備えることも良作であるでしょう。
物納は相続税評価額で納税したことになりますから、たとえ、売却時の譲渡益による税金を払ったとしても希望価格で売却出来るのであれば、相続税納税後の金融資産は多く残せるかもしれません。
もっとも、生前に売却して現金化すると相続税財産評価の計算上は評価額がより高くなってしまいかねませんので、生前贈与で次の世代に終身保険料などにあてて納税資金の準備をしながら移転しまった方がよろしいでしょう。
また、納税対策のみならず、相続人間の遺産分割を考えておかなければなりません。
誰に、どの財産を、いくらの価値相当分を遺してあげるのか、そして、出来るものであれば相続発生後の相続人間の争いを防ぐために、かつ、自分の思いを大切にするために、遺言書を遺しておくべきでしょう、費用はかかりますが公正証書遺言がよろしいかと思います。
遺産分割や納税を考えながら、不動産の場合は工夫次第では相続税の財産評価額を下げることができますので、あわせて節税の方法も考えていきたいところです。
こういったことは、生前にある程度の時間をかけて準備していかなければなりません。
そのためには、まずは、すべての財産の棚卸から調査を行い、それぞれの財産の特性や特に価値を見定める必要があります。
不動産はもとより株や投信等の金融資産、さらには生命保険等のその時点での価値を測定し次の準備に備えていきたいところです。