人材のプロ青柳功「不動産キャリアの達人」
不動産業界の人材育成・人材教育をてがける青柳功さんに、不動産業界のキャリアアップや評価、必要スキルについて紹介してもらいます。
第3回目は、業界未経験から不動産業界に転職を希望される方や不動産業界から不動産業界への転職を考えている方に向けて求められるスキルや能力について解説いただきます。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
■企業側の視点
求められる人材像を採用する企業側の視点で考えてみましょう。
当然ですが、採用する人物像の能力をどう定義するかは会社によって異なります。
自らが応募した(あるいは、しようとしている)企業が応募者の何に注目して採用しているのかを見極める上で、企業側の視点を持つことは重要になります。
多くの企業が採用判断の指針としているのは以下の4ポイントです。
・専門知識
・スキル
・職務志向
・態度、姿勢
1つずつ解説していきます。
■専門知識
不動産業界の知識やその関連知識を持っているかどうかです。宅建などの資格保有が必要な企業、職種もあります。
同業界からの転職であれば、
・用地仕入
・マンション販売
といった個別の業務経験が重視されます。
不動産企業の求人広告は、応募者の数(母数)を増やすために未経験歓迎としていることがあります。しかし、本音ではほとんどの企業が「経験者が欲しい」と考えています。なかでも用地や中古マンションの仕入れなどの職種は、仕入れ先とのネットワークが有ることが重視されます。未経験からの採用は少ないでしょう。
逆に、営業職の求人であれば不動産業界での経験がなくてもBtoCの営業経験(例えば自動車の営業など)があれば良い場合や、単に営業経験があれば良い企業もあります。
■スキル
「仕事スキル」と「対人スキル」に分類することができます。
仕事スキルは、
・計画立案力
・実践行動力
・完遂実行力
・状況把握力
・思考判断力
・PDCAを回せる力
などを有しているかが判断材料になります。
対人スキルは、
・口頭コミュニケーション
・文書コミュケーション
・信頼構築力
・プレゼンテーション力
などが挙げられます。
このコミュニケーション能力ひとつとっても、企業によって大事にしている点が異なるので注意が必要です。「自分の意見が言える」、「人の話が聞ける」といったものから、「空気が読める」など必ずしも同じではありません。
ちなみに、私が研修で教えているコミュニケーションでは、「話す」「聴く」、「自己開示力」に加えて「ノンバーバル」の4つを定義しています。ノンバーバルとは、表情や態度など言葉では表現できないコミュニケーションを指します。これら4つの能力を通じ「仕事を遂行する上で、部下、同僚、クライアント(顧客)と意思疎通が図れる力」を身につけることを目標としています。
では、コミュニケーションスキルはどうやって身につけられるのでしょうか。
もっとも簡単な方法は、社内ロールプレイングを繰り返すことです。お客の設定や制限時間を変えることによって、様々なパターンを練習することができるため非常に効果的です。言葉遣いや、話の運び方も実践的に鍛えることができます。
この対人スキルはシステム・エンジニアや設計などの一部の職種を除き、ほとんどの職種で必要とされます。必ず身につけておきたい能力です。
■職務志向
企業が「個人成果」なのか「組織成果」なのかかによって求めるタイプが異なります。
キャリアの初期では、個人成果にこだわることは非常に重要です。しかし、部下を持ちマネジメントする立場の場合、組織成果という志向を持つことも重要になります。
「不動産会社 人事担当者の評価ポイント」でも紹介しましたが、昨今では「チームやグループでいかにパフォーマンスを出すか」という点を重視する企業が多くなっています。
営業職で転職した場合、まずは個人成果を求められることになります。しかし、個人成果が認められると、すぐに役職が付き組織成果にシフトする場合もあります。
志望する企業がどちらの成果タイプなのかは、面接時に質問して判断しましょう。
■態度・姿勢
・主体性
・責任性
・ストレス耐性
・誠実性
・向上心
などを採用の重点判断基準としていることが多いです。
企業では、これらの要素を以下の表にあてはめて、各社独自の求める人物像を設定しています。
(画像=リビンマガジン Biz編集部)
主観(面接)と客観(適正検査)の両軸から総合的に判断しているケースがほとんどです。
未経験者や同業界からの転職を考えた際、行こうとする企業に何を求めてられているのかを見極める事も重要です。