中古マンションのようなある程度規格化できる物件の状況(エリア、規模、構造、築年数、管理状況など)は、ネット情報だけでかなり正確に把握できるようになりました。
また、性能評価制度の整備やネット仲介などの取り組みにより、今後の中古マンションは空き家の発生を抑制して社会インフラの効率的活用としての位置付けが強まると予想されます。
そうなれば当然築年数の経過した中古マンションが投資対象の中心となり、特に賃貸需要が高い東京23区の平均築年数が22~23年であることを勘案すると、リフォームという原状回復ではなく、リノベーションという性能や価値の向上を図るためのコストを見込む必要が出てくると思われます。
ただ、リノベーション済みマンションを買えばいいかと言うと、必ずしもそうではありません。その理由として専門家からの指摘が多いのは、リノベーション事業に新規参入する事業者が増加し、工事管理体制の甘さからトラブルが多くみられることや、実際のコストが見えないことが挙げられます。
また、事業者によって行われたリノベーション自体、必ずしも購入者のニーズに合ったものとは限らず、過剰なリノベーションが無駄なコストに繋がる可能性もあります。
そうであれば、解決策は購入者自らがリノベーションを企画して必要と思われる箇所のみを事業者に発注することです。最近では大手事業者の参入も増え、競争激化から素人にも工事内容がわかりやすく、工事価格も次第に透明性が上がってきている模様です。
注意すべきポイントとしては、中古物件に関するトラブルの約9割が雨漏りや水漏れなどであることを認識したうえで、まずリノベーション前の状態を確認し、工事の範囲や内容について直接見積もりを取って発注をかけるという手間を惜しまないことです。こうしたプロセスを経てなお心配であれば、ホームインスペクター(住宅診断士)などの専門家にチェックを依頼すると良いでしょう。
最近では、欧米のリノベーション技術が続々と入ってきて、日本でも自分で出来る範囲のものは自分でやるという機運が高まってきていることは、リノベーション費用の削減にも繋がります。