2015年から2016年にかけて相次いで発覚した、横浜の傾斜マンションのニュースには大変驚かされました。
業界を代表する三井不動産(現・三井不動産レジデンシャル)、住友不動産という大手デベロッパーが、同じ横浜市内で、杭基礎の不具合を原因とし、共に全棟建て替えに追い込まれたというのは前代未聞です。
マンションは現場ごとの一品生産であるなかで、デベロッパー、設計事務所、建設会社の三者が、品質とコストのバランスを十分に検討することなく、各事業者の責任もあいまいにした結果、モラルや品質の低下という建設、不動産業界の体質が露呈した感があります。
無論、欠陥や不具合があるマンションが見つかることは珍しいことではありませんが、一方で両社のような売り主側の前例のない手厚い保障は、通常では期待出来るものでもありません。
このため、上記のような問題に巻き込まれると、多くの人にとっては自宅購入が人生最大の買い物だけに、人生設計が大きく狂うリスクがあります。
それでは、欠陥マンションで後悔しないためには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
第1に、設計、施工、販売の各事業者の財務体質や業績動向、業界内での評価などから、信用度を確認する。
第2に、自然災害が起こりにくいエリアや、「設計図書」での支持層の深さや状態など地盤を確認する。
第3に、建物については、「住宅性能表示制度(構造の安定や火災時の安全性、遮音性など10項目の性能表示)」の活用や、外壁や柱に不自然なひび割れがないか、などを確認する。
不幸にも、欠陥や不具合が見つかった場合に買主が請求できることは、①生じた損害に対する金銭での賠償、②無償での補修、③売買契約を解除、による民法の規定です。
ただ、2件の横浜の傾斜マンションにおいても、当初は売り主側が取り合わなかったことから見て、居住者と不動産会社の間の情報格差は大きく、欠陥の存在や損害との因果関係を証明するのには、大変な労力を有することを覚悟する必要があります。