「マンションの資産価値は9割が立地」とか、「マンションは管理を買え」と、よく言われます。
マンションの資産価値に占める立地のウエイトが9割あるかどうか定かではありませんが、物件選択の最大のポイントは立地であり、残りはマンションの企画や施工精度、管理機能です。
建物を良好な状態に保つためには、建築時の施工精度が最も重要ですが、その後は古くなればなるほど、メンテナンスを始めとする管理の良し悪しが、資産価値を決めるといっても過言ではありません。
しかし、多くの人にとって人生最大の買い物である自宅購入においては、結局マンションデベロッパーの知名度やブランドが決め手となるケースが多いようです。
いわゆるブランドマンションなら本質価値としての上記条件を満たすうえ、高級感や信頼感から資産価値も下がりにくいと考えられやすく、デベロッパーもそうした消費者心理がわかっているので、広告などによるブランドイメージ戦略に注力している感があります。
つまり、消費者は「ブランドマンションで信用を買う」ということでしょうか。
それまでの行為・業績などから、世間が与える信用という評価こそがブランド力であり、当然マンション価格に反映されて高くなりがちです。
ブランドマンションに否定的な専門家の中には、宝飾品やクルマのような工業製品のブランドと比較して、均一のクオリティがないマンションのブランドは幻想であり、イメージ戦略の経費が上乗せされた価格は割高との見方があります。
しかし、それは誤解であり、強いブランドを持つデベロッパーは、自社ブランドを冠したマンションについて一定の品質、レベルを確保するための「設計基準書」を設けており、構造や設備などの研究開発や、顧客のトラブル・クレームなどが反映及び更新されたものとなっています。
品質の良さは強いブランドの前提条件であり、そうでなければ強いブランドになり得ません。
2015~16年にかけて、横浜市で相次いで発覚した三井、住友の傾斜マンション問題は、両社のブランドを大きく傷つけましたが、その後の画期的な全棟建て替えによる保証は、信用という点でむしろブランドマンションの価値を引き上げたのではないでしょうか。