首都圏新築マンションの販売不振が続く一方、中古マンションは活況の様相を呈しています。
要因として、コスト上昇による新築マンション価格の高止まりで購入に二の足を踏む人が続出する一方、需要は割安な中古マンションに流れていることが指摘されています。
それでは、新築マンション価格は下落に転じるのかという問いに対し、私は「販売不振でも、都心のマンション価格は下落しないと同時に、今後も中古マンションとの相乗効果で上昇トレンドが続く」と予想しています。
確かに、昨年の首都圏の新築マンション供給戸数は12%減でピーク時の4割水準に沈み、契約率も68.8%で7年ぶりに70%割れとなり、特に4割超のシェアを占める東京23区が20%減と足を引っ張りました。
ただ、これだけ新築マンションの販売が不振であっても、首都圏の㎡単価の平均は79.3万円で2013年以降4年連続上昇し、中でも23区は100.5万円に達しています。
直近の月次データでも、23区は昨年12月103.2万円、今年1月132.2万円であり、不動産各社も強気の姿勢を崩していません。
その理由としては、東京一極集中、都心の大規模再開発、訪日外国人旅行者数の急増などに伴う利便性向上で、都心の稀少価値が更に高まることや、都心は財務体質が強固な大手業者の寡占状態にあるため、現在の低金利で売り急ぐ必要はなく、中古マンション事業での収益確保も図られていること、などが挙げられます。
都心での新規開発用地の不足から需要が中古マンションに流れていることで、昨年の成約は初めて新築マンション供給戸数を上回るなど流通市場は活況であり、今後もリセールバリューの上昇が新築マンションとの相乗効果を生むと予想されます。
購入者側から見ても、現在の低金利の下では、購入可能額はアップ出来る環境にあり、例えば7,000万円を35年で借入れた場合、金利が現在の1.0%と2.0%では支払総額が1,400万円超も違ってきます。
こうした背景には、金融機関の不動産融資が新規貸出、貸出残高共に過去最高水準ということがあり、少なくとも国策としての低金利と資金供給に変化がない限り、価格は下落しないと見ておいた方が良いでしょう。