前回のコラムで、東京は、オリンピック後に更なる値上がり局面を迎えると述べました。
その理由として、日本経済のインフレへの転換が見込まれる中、23区内でも地歴に勝り、国家戦略特区として2025年前後に国際競争力のあるビジネス拠点への整備が進む都心部を中心に、人口の一極集中と新陳代謝が継続する限り、不動産価格は崩れないと想定されるためです。
また、訪日外国人旅行者数が昨年過去最高の2400万人超に達し、2020年に政府目標の4000万人へと順調に拡大していけば、東京の不動産価格の上昇を牽引してきた海外投資家の更なる買いを呼ぶことになるでしょう。
これらの結果、2016年にリーマンショック以降8年ぶりに500兆円を回復した日本の名目GDPは、安倍政権が2020年の目標とする600兆円に近づいていくでしょう。
歴史的にマクロ的なバブルが崩壊する水準は世界的にもほぼ一致しており、その国の総融資残高が名目GDPの1.5~1.6倍程度が危険水準ですが、日本は現時点でも1.1倍程度であり、今後のGDP成長が見込まれる中では、バブルには程遠い状況と言えます。
こうしたなか、新築と中古では、どちらがキャピタルゲインを狙えるかについては、建築コストが高騰している現在、積算方式で決まる新築マンションの分譲価格は、需給で決まる中古マンションに比べて割高で、下落リスクも大きいと考えるのが普通かもしれません。
ただ、中古マンションの坪単価が300万円台の地域に、500~600万円する新築マンションが完売している事実を勘案すると、新築マンションが中古マンションの相場を引き上げる可能性も十分にあり、必ずしも中古マンションが優位とは言えないと思います。
もともと高価格帯の稀少立地に、再開発で新築マンションが供給されれば、海外投資家が円安を追い風に、国際都市の中でも割安な東京のマンションに的を絞って購入することは十分に予想される一方、それ以外の地域に対する海外投資家の需要はほとんどないことを認識する必要があります。
東京都心の中古マンション価格の動向を見ても、昨年半ばに下落する局面もありましたが、11月以降は大きく反転上昇しているのは、トランプラリーで株価が上昇し始めたタイミングと一致しており、新築、中古の区別なく、キャピタルゲイン狙いの投資家の勢いは再び強まるとみて良いでしょう。
こうした認識がなく、これまでのデフレ時代の常識にとらわれ過ぎると、「バブルだから今が売り時」との判断に傾きやすくなるわけです。