前回のコラムで、キャピタルゲインに的を絞ったファミリータイプのマンション投資が可能なエリアは、東京23区の半数程度の区や一部の中核都市に限定されると述べました。
現時点で、東京以外の地域について確かなことは言えませんが、23区内では地歴に勝り、今後も国家戦略特区として国際競争力のあるビジネス拠点への整備が進む千代田、港、中央、品川、新宿、文京、目黒、渋谷が中核になると予想しています。
アベノミクスによるインフレ期待を先取りする形で上昇してきた不動産価格も、東京オリンピック前後でピークアウトするとの見方がありますが、むしろそうした売りで下げた時が絶好の買い場となり、東京オリンピック後に更なる値上がり局面を迎えると考えます。
不動産価格が需給バランスで決まる以上、人口の東京一極集中という需給ひっ迫トレンドが継続する限り、不動産価格は崩れないと想定されます。
資源を持たず、人口減少、少子高齢化が進む日本においては、国際競争を勝ち抜くための国策として、ヒト、モノ、カネ、情報を東京に集めて、巨大な経済圏構築に注力していると見るべきであり、ニューヨークやロンドン、パリなども、現代社会の中心をなす第三次産業の投資効率を上げるための施策として、人口集積が進展しています。
その意味では、前述の国家戦略特区として整備が進む中核区が大きく変貌するのは、東京オリンピック終了後の2025年前後となるほか、訪日外国人旅行者数が順調に拡大(2016年2404万人・前年比22%増、2017年以降年14%増ペースで2020年政府目標4000万人到達)していることは、今後の不動産価格にプラスに作用すると予想されます。
こうしたなか、ここ数年の金融緩和によるインフレ期待と円安を背景に、東京の不動産価格の上昇を牽引してきたのが海外投資家であり、世界的な余剰資金と経済のグローバル化を背景に、日本の不動産もローカル価格からグローバル価格に修正されようとしています。
2011年以降の大幅な円安ドル高により、ドルベースの東京のマンション価格はニューヨークやロンドンの2分の1から3分の1程度にとどまっており、今後もインフレ経済への転換は円安ドル高要因となるため、海外投資家によるキャピタルゲイン狙いの買いは続くと予想されます。
しかも、こうした多額の海外投資マネーは、東京23区内の限られたエリアに投資されるのであれば、周辺との価格差は開く一方となるでしょう。